ヒュミラ/自己免疫性疾患の画期的な治療薬

▼ヒュミラとは?

「ヒュミラ」は、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの治療薬(生物学的製剤)です。抗TNF製剤(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)と呼ばれる種類の注射剤です。「ヒュミラ」は、すべての医薬品の中で世界売上が5年連続の1位で、年商160億ドルを超えている驚異的なブロックバスターです。

「ヒュミラ」は、体内で異常に増えている TNFα(ティーエヌエフ・アルファ)という物質の働きを抑えることにより、症状を改善します(TNFαは、炎症や痛みの発現に起因している体内の物質)。「ヒュミラ」は主に関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などに使われています(クローン病、ベーチェット病、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎などの適応もあり)。

▼関節リウマチ(RA)とは?

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)は、自己免疫の異常によって起こる慢性の全身性炎症疾患です。自己免疫がおかしくなると、自分の身体の組織を敵と思い込み、自身の免疫機能が攻撃してしまうのです。関節リウマチの主な症状としては、深刻な痛みや腫れを伴います。国内には約70万人の関節リウマチ患者がいると言われています。

それまでの関節リウマチの治療には対症療法しかなく、痛みや腫れに対して、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬で痛みを和らげることしか出来ませんでした。抗リウマチ薬も開発されましたが、関節破壊の進行を抑制出来たのは一部の患者だけという結果でした。

しかし近年、「ヒュミラ」のような“生物学的製剤”の登場で、既存の抗リウマチ薬が効かなかった患者に対して、寛解あるいは低疾患活動性の達成まで可能になりました。

関節リウマチは基本的に、免疫抑制薬の「リウマトレックス」や生物学的製剤の「レミケード」などでの早期寛解を目指す治療が行われていますが、既存の治療では十分な効果が得られない場合も多く、常に新たな治療選択肢が必要とされています。

▼アクテムラとの違い

「ヒュミラ」も「アクテムラ」も、どちらも最先端のバイオテクノロジー技術によって開発された国産の生物学的製剤です。

関節の炎症に関連するサイトカインは何種類もあるのですが、その中でも関節リウマチの要因となるのが“TNFα”と“IL6”というサイトカインです。「ヒュミラ」はTNFαをブロックするのに対し、「アクテムラ」はIL6の働きをブロックします。

つまり、ターゲットが異なります。「ヒュミラ」を使っていて、効果が出ない場合や副作用がひどい場合は、「アクテムラ」へ切り替えることで改善が期待できるかもしれません。

▼ヒュミラの副作用

主な副作用は、上気道・鼻腔・咽頭感染症、注射部位の発赤・疼痛、頭痛などです。重い副作用としては、感染症(結核、敗血症、肺炎など)、アナフィラキシーショック、血液障害、間質性肺炎、ループス様症状、脱髄疾患、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全などが報告されています。

▼ヒュミラの月々の治療費用※1

「ヒュミラ」を使う場合、毎月薬代として以下の費用がかかります。

1割負担の場合 約12,500円※2
2割負担の場合 約25,000円※3
3割負担の場合 約37,500円※4

※1:40mgを月2回投与した場合の推計金額(平成30年度薬価に基づく)
※2:75歳以上で3割負担以外の方
※3:70〜74歳で3割負担以外の方
※4:70歳未満または70歳以上で高所得者など

上記の他、診察料や検査料などの医療費が別途必要

▼リウマチの治療

リウマチの治療方法は大きくふたつに分類できます。
【1】:痛みをとりのぞく薬(非ステロイド性鎮痛薬、ステロイド)
【2】:炎症をブロックしてリウマチ自体を抑える薬(抗リウマチ薬)

抗リウマチ薬は大きく3つに分類できます。
【1】免疫調整薬:リマチル、アザルフィジン、シオゾール他
【2】免疫抑制薬:ブレディニン、リウマトレックス他
【3】生物学的製剤:レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、ケブザラ

関節リウマチ治療薬は、売上の伸長が著しく、特に「ヒュミラ」、「アクテムラ」、「シンポニー」、「オレンシア皮下注」は二桁成長しています(2016年現在)。

▼関節リウマチに関連する薬



▼潰瘍性大腸炎治療薬の使い分け

レミケード 寛解時は8週間隔の投与。点滴静注で炎症性サイトカインを直接抑制するため、重症患者など早急に炎症を抑えたい時に用いる傾向。潰瘍性大腸炎への使用実績が多い。
ヒュミラ 寛解時は2週間に1回、自己注射でOK。自己注射に抵抗のない患者向け。潰瘍性大腸炎への使用実績が多い。
シンポニー 寛解時は4週間に1回、病院で皮下注射。自己注射に抵抗のある患者向け。潰瘍性大腸炎への使用実績が多い。
ゼルヤンツ 抗体医薬ではなく低分子製剤(JAK阻害薬)。注射薬ではなく経口薬というのが特徴。潰瘍性大腸炎の使用実績は少ない。
エンタイビオ 寛解時は8週間隔投与。海外では潰瘍性大腸炎に使用されており、比較的安全とされているが、日本での使用実績は少ない。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、ユニクロのような大型洋服店で買い物を愉しむカップル。家のマークが描かれているTシャツは、在宅注射できる「皮下注40mg」を表しています。棚に掛けられている病院マークのTシャツは効果不十分の場合病院で注射する「80mg」を表しています。

「ヒュミラ」は2週間に1度、皮下に注射する薬です。基本的に通院は2週間に1回で、初回、2週後、4週後、6週後、8週後……と続いていきます。つまり、棚の数字は投与間隔を示しているわけです。

旅行鞄やリュックサックは、「ヒュミラ」で処方中でも体調が安定していれば旅行を楽しむことができる、ということをアピールしています(「ヒュミラ」のような生物学的製剤が登場するまでは、自己免疫疾患に罹った患者の旅行はほとんど不可能でした)。

というわけで、細かく分析してみましたが、かなり説明的で理屈っぽいビジュアルに仕上がっています。

販売名:ヒュミラ皮下注40mg シリンジ0.8mL
一般名:皮下注射用アダリムマブ製剤(遺伝子組換え)
関節リウマチ治療薬/ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体/
クローン病治療薬/潰瘍性大腸炎治療薬
アッヴィ
アボット
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