尿酸排泄低下型にユリノーム
高尿酸血症の85%に排泄低下素因
▼ユリノームとは?
「ユリノーム」は、尿酸値を下げる薬です。痛風・高尿酸血症治療薬は、大きく分けて2種類あります。尿酸の生成を抑制するか、尿酸の排泄を改善するかという2つです。つまり、入口を直すか出口を良くするかということです。「ユリノーム」は“尿酸排泄薬”に分類されます。
痛風や高尿酸血症の患者は、身体の中で尿酸が作られ過ぎたり、不要となった尿酸がきちんと体外へ排泄されなくなることで、尿酸値が高くなっています。「ユリノーム」は腎臓に作用して、尿酸を尿中へ多く排泄させます。その結果、身体の尿酸を減らします。
つまり、「ユリノーム」は【尿酸排泄低下型】の患者に適した薬というわけです。そして、高尿酸血症の実に85%が“排泄低下素因”を持っているということが報告されています(「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」より)。
▼尿酸値とは?
“尿酸”は、ヒトの身体の中に常に存在している物質で、作り出される量と体外へ排泄される量のバランスによって、常に体内で一定量に保たれています。ちなみに、尿酸の材料となるのが“プリン体”と呼ばれる物質で、尿酸はプリン体を代謝した際に生じる老廃物(燃えかす)です。
尿酸値を6.0mg/dL以下に保つと、身体にたまっている尿酸の結晶が減り、痛風の発作が起こりにくくなります。 また、高尿酸血症に合併しやすいと言われている生活習慣病、慢性腎臓病、心筋梗塞や脳卒中などのさまざまな病気を予防することへもつながります。
痛風発作は尿酸値が高いときもそうですが、急激に下がったときにも起きやすくなります。そこで、「ユリノーム」を飲み始めるときは、痛風発作を避けるために少ない量から始め、目標の尿酸値に下がるまで段階的に投与量を増やしながら、ゆっくり下げていきます。
▼ユリノームの特徴
「ユリノーム」は、高尿酸血症改善薬の中で、尿酸排泄低下型に適しています。
基本的に、多くの尿酸は腎臓を通してろ過されています。ところが、ろ過された尿酸のほとんどはそのまま体外へ排泄されません。多くの尿酸は排泄されずに、再び身体の中へと再吸収されてしまうのです。
尿酸の再吸収に深く関わっているのが、“URAT1”というタンパク質です。URAT1は、尿酸のトランスポーター(運び人)で、近位尿細管を通る尿酸を再び体内へと運んでいます。「ユリノーム」の有効成分ベンズブロマロンは、このURAT1の働きを阻害し、尿酸の排泄を促す効果があります。
▼ユリノームの副作用
「ユリノーム」の副作用として、「胃部不快感」、「胃腸障害」、「皮膚のかゆみ」、「発疹」、「下痢」などが報告されています。
まれに深刻な肝障害(劇症肝炎)を起こすことが報告されており、定期的な肝機能検査を行う必要があります(死亡例あり)。また、尿酸を大量に尿中へ排泄するので、尿路結石にも注意が必要です(尿が酸性になり過ぎると、尿酸結石や血尿などにつながります)。
主な副作用 | 胃部不快感、胃腸障害、皮膚のかゆみ、発疹、下痢 |
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重大な副作用 | 重篤な肝障害(倦怠感、吐き気、食欲不振、皮膚・白目が黄色くなるなどの症状) |
▼高尿酸血症治療剤・痛風治療剤の市場
高尿酸血症治療剤・痛風治療剤の市場は、全体で350億円を超えると言われています(2016年現在)。その中で一番売れているのは「フェブリク」で、230億円を超える圧倒的な売上を誇っています。「ユリノーム」は、優れた尿酸排泄作用と30年以上の豊富な実績がある薬ですが、使い勝手の差なのか、売上は縮小傾向です。
フェブリク | 2016年度売上:230億円 |
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ザイロリック | 2016年度売上:46億円 |
ウリアデック&トピロリック(併売品) | 2016年度売上:20億円 |
ユリノーム | 2016年度売上:14億円 |
▼治療ガイドライン、8年ぶりに改訂(追記:2019年1月)
2018年12月末、⽇本痛⾵・核酸代謝学会が発行する「⾼尿酸⾎症・痛⾵の治療ガイドライン」が8年ぶりに改訂(第3版)されました。
近年のトレンドに合わせて、尿酸値だけではなく、“脳・⼼⾎管イベントの予防”や“腎機能障害への影響”などが盛り込まれています。
また、従来の病型分類は、【尿酸産⽣過剰型】と【尿酸排泄低下型】の2つの型だけでしたが、改訂されたガイドラインには、腸からの排泄低下により⾎清尿酸値が上昇するという【腎外排泄低下型】が新たに追加されました。
今回の改訂で特に重要なポイントは、下記のクリニカルクエスチョン(第2章に掲載)です。
【1】 腎障害を有する⾼尿酸⾎症の患者に対して、尿酸降下薬は⾮投薬に⽐して推奨できるか?
【2】 ⾼尿酸⾎症合併⾼⾎圧患者に対して、尿酸降下薬は⾮投薬に⽐して推奨できるか?
⽇本痛⾵・核酸代謝学会は、“腎機能低下を抑制する⽬的での尿酸降下薬の使⽤”を条件付きで推奨しています。これは、欧⽶のガイドラインでは推奨されていない日本独自の推奨です。
⼀⽅、“⼼⾎管発症リスクの軽減を⽬的とした尿酸降下薬の使⽤”は、条件付きで推奨されません。降圧薬使⽤中の⾼⾎圧患者では、痛⾵や腎障害を合併しやすいため、痛⾵や腎障害の抑制を⽬的に尿酸降下薬の投与が推奨されています。
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、“排泄”をキーワードにした砂時計ならぬ水時計です。記された文字は“URAT1 BLOCK”で、尿酸の再吸収を行うURAT1を阻害するという特徴を表しています。
一般名:ベンズブロマロン
製品名:ユリノーム錠25mg,50mg
痛風治療剤/高尿酸血症改善剤/尿酸排泄薬
鳥居薬品