リュープリン/2013年グッドデザイン賞受賞

患者さんへの想い、医療現場への想い。
「想い」を込めるタケダの製剤技術。

2013年日本パッケージングコンテスト「医薬品・医療品包装部門賞」受賞

▼リュープリンとは?

1992年に発売された「リュープリン」は、主に前立腺癌(PC)の治療に用いられるLH-RHアナログ製剤です。男性ホルモンの分泌を低下させる注射剤です。

もともとは婦人科領域の不妊治療薬として開発していましたが、動物実験の過程で前立腺癌の進行が抑制できるということが判明しました。

▼前立腺癌とは?

前立腺癌は前立腺の細胞がエラーを起こし、増殖を繰り返す病気です。前立腺がんは年齢とともに増加し、特に高齢者に多く、80歳以上では約20%の人が前立腺癌だとも云われています。

前立腺癌は進行が比較的ゆっくりで、高齢者に発生する前立腺癌の25〜50%は、寿命に影響を与えないと言われています。しかし、悪性度の高い前立腺癌の生命予後は不良です。前立腺癌と診断する場合は、積極的に治療するのか経過を観察するのか、癌の性格を的確に判断して区別することが重要です。

▼前立腺癌の治療

日本における前立腺癌の主な初期治療法を見ると、「リュープリン」などを注射するホルモン療法(49.8%)が一番多く、次に摘出手術(31.5%)、三番目に放射線療法(10.4%)となっています(日本泌尿器科学会2011年集計)。

前立腺癌の進行は、男性ホルモンに依存しています。ホルモン療法は、男性ホルモンの働きを抑制し、ガン細胞の増殖と活動を抑える治療法で、ほとんどの前立腺癌に効果的です。

なお、現在の前立腺癌に対する治療としては、LH-RHアゴニスト(リュープリン、ゾラデックスなど)と抗アンドロゲン薬の併用療法(MAB療法)が主流となっています。

▼ホルモン療法の種類

ホルモン療法には大きく分けて、“男性ホルモンの分泌を抑える方法(リュープリンなど)”“男性ホルモンの作用発現を抑える方法(カソデックスなど)”のふたつがあります。前者では男性ホルモンの分泌を低下させる薬剤(LH-RHアゴニスト、LH-RHアンタゴニスト)を皮下注射する方法や摘出手術(精巣自体を摘除する方法)があります。

ホルモン療法は抗がん剤や放射線療法のように、ガン細胞を駆除するわけではありません。そのため、治療期間が長引くとホルモン療法に対する抵抗力が出てきて、効果が弱まってきます。ホルモン療法が効果的かそうでないかは、患者によって個人差があります。


▼画期的だったマイクロカプセル

1970年代までは、前立腺癌が発見される頃には既にガンの進行がかなり進んでいるのが通常で、精巣を摘出して女性ホルモンを投与する治療しかありませんでした。しかし、1992年に「リュープリン」の登場で前立腺癌の治療が大きく変わることになりました。

「リュープリン」の有効成分である“リュープロレリン”は、発売の20年前からホルモンとして単離されていましたが、連日注射投与しないと前立腺癌に対する効果が発揮できないという課題が残っていました。

それを解決したのが「リュープリン」の【マイクロカプセル】(DDS:Drug Delivery System)です。これを使うことで、4週間に1度の注射で“リュープロレリン”を体内で持続的に放出できることが実現しました。現在では3ヵ月製剤や6ヵ月製剤が登場するなど、さらに改善されて、患者のQOL向上に役立っています。

「リュープリン」は既に特許が切れていて、後発医薬品(ジェネリック)が参入済みの長期収載品ですが、特殊な製薬技術を使っているため、投与間隔が6ヵ月の製剤はタケダ薬品でしか造れていません。

「リュープリン」の2018年度の売上高は全世界で1101億円、日本国内だけで398億円。品質を上げることで、ライバルの後発品との差別化を図っています。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、注射キットを見つめる女性。“医療現場への想い”を表現しています。使いやすく優れた注射キットということで、2013年に「グッドデザイン賞」「日本パッケージングコンテスト賞」を受賞しています。

製品名:リュープリン注射用1.88・3.75,リュープリンSR注射用キット11.25
一般名:注射用リュープロレリン酢酸塩
LH-RH誘導体 マイクロカプセル型徐放性製剤
LH-RH:黄体形成ホルモン放出ホルモン
1992年発売
武田薬品工業

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