フォシーガ/SGLT2阻害剤、3強時代

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▼フォシーガとは?

「フォシーガ」は世界で最初に発売された選択的SGLT2阻害薬です(日本では2番手)。作用は、SGLT2阻害作用にもとづき腎臓での糖再吸収を抑制することです。インスリンとは関係なく作用するので、低血糖を起こしにくいと云われています。α-グルコシダーゼ系、チアゾリジン系、ビグアナイド系、スルフォニル系など、すべての糖尿病治療薬との併用が可能です。

▼糖尿病とは?

糖尿病には1型と2型が存在します。1型糖尿病は、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が、主に自己免疫によって壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。インスリン注射を打って、治療します。

一方で2型糖尿病は、生活習慣や肥満などによってインスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。「フォシーガ」は、主に2型糖尿病に対して使用する薬です(2019年、1型糖尿病の効能・効果が追加となりました)。2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、「フォシーガ」のような2型糖尿病治療薬が処方されます。

糖尿病は食事療法、運動療法、薬事療法の3つが基本ですが、「フォシーガ」を使うと、1日300kcalから400kcalを尿として排出すると言われており、人によっては体重がかなり減少します。そのようなケースでは、食事療法が占めていた負担は少なくなるのかもしれません。ただし、利尿作用があるため、急激に運動した後などでまれに脱水症状を起こす危険があります。

▼SGLT2阻害剤とは?

SGLT2阻害剤は、比較的安全で質の高い血糖コントロールが期待できる薬剤です。体重の減少効果が特徴で、日本よりも肥満の多い欧米で注目度が高い薬です。HbA1cを下げるレベルはDPP-4阻害剤と同じようなレベルと言われ、食後血糖値も空腹時血糖も全体的に下げるため、血糖値はインスリンを使った時に近い挙動になります。低血糖を発症するリスクが少ないのもDPP-4阻害剤と同様です。最も適する糖尿病患者のタイプは“肥満でインスリンの分泌が比較的保たれている患者”ということになります。逆に、痩せている人や高齢者には注意が必要です。

副作用で気をつけなければいけないのは、尿路・生殖器感染症です。排泄される尿が糖分を多く含むようになるので、細菌が繁殖しやすくなります。膀胱炎、尿路感染症、膣カンジダ症といった副作用が現れることがあります。その他の副作用としては、発熱、頻尿、排尿痛、陰部の腫れやかゆみ、脇腹や背中の痛みなどが報告されています。

▼あらためて脚光が当たるSGLT2阻害剤

SGLT2阻害剤については、血糖降下作用や体重減少効果だけでなく、心血管イベントのリスク減少といった複合的な効果が明らかになりつつあります。2015年9月、ストックホルムで行われた「欧州糖尿病学会」において、エンパグリフロジン(ジャディアンスの有効成分)で心血管死亡率は38%も減少したという大規模試験の結果が発表されました。いま、欧米ではあらためてSGLT2阻害剤に脚光が当たっています。

大規模試験の結果でエビデンスが出てきたこともあり、日本糖尿病学会は2016年5月に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するレコメンデーション」の改訂を行いました。改訂の結果、高齢者でも適応可能と考えられる対象患者数が拡大しています。

米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)が共同で作成している「2型糖尿病の高血糖管理に関するコンセンサスレポート2018」では、心血管疾患(CVD)や心不全を合併する場合にSGLT2阻害剤を積極的に推奨するという草案が発表されました。

第一選択薬の「メトグルコ」(メトホルミン)単独で効果が不十分な場合は、2剤併用となるのが2型糖尿病治療の基本方針ですが、2018年のレポートではメトホルミンの併用薬の選択には、まず“動脈硬化性心血管疾患と心不全を考慮すべき”とガイドラインの刷新が提言されました。その中で、動脈硬化性心血管疾患が主要な原因であれば【GLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)】を推奨、腎臓機能が保たれていれば【SGLT2阻害剤】を推奨しており、パブリックコメントを求めたのちに2018年10月の正式版に折り込まれる予定です。

SGLT2阻害薬は、直接的なインスリン分泌促進作用を持たず、体重減少やインスリン抵抗性の改善も期待できることが特徴です。肥満度が高い欧米では、病態に適しているということで高評価ですが、日本では“DPP-4阻害薬”に押されています。2016年の資料によれば、国内のSGLT2阻害薬の処方率は処方箋ベースで2〜3%程度だということです。日本では、圧倒的なDPP-4阻害薬の勢力に立ちすくんでいる状態ですが、ガイドライン改訂からの逆転はあるのでしょうか。

▼主なSGLT2阻害剤







▼SGLT2阻害剤3強時代

SGLT2阻害剤市場のシェア争いは、「スーグラ」「フォシーガ」「ジャディアンス」の3製品に絞られてきました。現在首位の「スーグラ」を「フォシーガ」が猛追。「ジャディアンス」も新規糖尿病患者を増やして、迫っています。市場全体としても拡大傾向で、2018年度は1000億円が視野に入っています。

製品名 スーグラ フォシーガ ジャディアンス
2016年売上 95億円 78億円 41億円
2017年売上 116億円 111億円 110億円
2018年予測売上 133億円 130億円 未発表

▼フォシーガとスーグラ

SGLT2阻害剤「フォシーガ」のライバルは「スーグラ」で、売上ではこのふたつがツートップです。2016年の時点では、一位の「スーグラ」に約5億円の差がありましたが、2017年第1四半期の段階で29億円vs26億円、その差3億円と拮抗してきています。2018年4〜6月期の売上では、「フォシーガ」が「スーグラ」を抜き、ついにトップに躍り出ました(どちらもプラス成長)。「スーグラ」が首位を明け渡した要因としては、DPP-4阻害剤との配合剤「スージャヌ」へ販売戦略をシフトしつつある、ということも影響しているようです。なお「スーグラ」は「スージャヌ」との2剤合計売上では、「フォシーガ」に差をつけています。

▼SGLT2阻害剤、配合剤がトレンド(追記:2018年8月)

2型糖尿病治療薬の市場では、SGLT2阻害剤とDPP-4阻害剤の配合錠が目立ってきました。「スージャヌ」が15億円、「カナリア」が14億円で、どちらも当初の売上予定を大幅に上回っています(2018年4〜6月実績)。ベーリンガーインゲルハイムもSGLT2+DPP-4の配合剤の発売を計画しており、降圧剤で流行したARB配合剤市場をしのぐ勢いで、SGLT2+DPP-4の配合剤が拡がっていく可能性があります。SGLT2阻害剤は、日本では人気に火がつかなかった経緯があり、現在実質的な第一選択薬となっているDPP-4阻害剤と配合させることによって、SGLT2阻害剤の特徴を活かせると考えられています。

▼心・腎保護薬となるSGLT2阻害薬(追記:2019年8月)

血糖降下薬として登場したSGLT2阻害薬ですが、心血管イベントのリスク抑制に加えて、近年腎機能低下の抑制効果も明らかになってきました。糖尿病から心不全の予防まで含めた“心・腎保護薬”へと「フォシーガ」のポジションが変わろうとしています。

米国糖尿病学会(ADA)は、2019年6月にに診療ガイドラインの改訂を発表。米国では、2020年にも2型糖尿病患者の腎保護という効能・効果が追加される見込みです。

▼キードクター

石田 均(杏林大学医学部 第三内科学 教授)
井口登與志(九州大学 先端融合医療レドックスナビ研究拠点 教授)
前川 聡(滋賀医科大学 内科学講座 教授)

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、アメリカのダイナーに置いてあるような“砂糖瓶”を使って「糖尿病の薬ですよ」と伝えています。腎臓での糖の再吸収を抑制する、という作用機序をひと目で分かりやすくまとめています。品があってキレイにまとめてありますね。


一般名:ダパグリフロジン プロピレングリコール
製品名:フォシーガ錠5mg,10mg
糖尿病用剤/SGLT2阻害剤/選択的SGLT2阻害剤(2型糖尿病治療剤)
アストラゼネカ
小野薬品工業

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