キャッチコピー
「ブランド製品群の製造販売承認を承継しました。」
ヨウ素系の殺菌消毒薬「イソジン」ブランドの広告です。イソジンといえば、Meiji Seikaファルマのカバくんが有名ですが、実はイソジンブランドは米国のブランドで日本(当時:明治製菓)がライセンスを買って製造販売していた製品でした。ナビスコが販売していたクラッカーの「リッツ」みたいな状況です。
Meiji Seikaファルマによる「イソジン」ブランドの販売は2016年3月で終了となりました。以降、イソジン製品は本家のムンディファーマが販売を委託するシオノギ製薬が販売権を承継することになりました。契約が切れたMeiji Seikaファルマですが、せっかく育てたブランドを手放すのはもったいないということで、同じ内容の製品を「明治うがい薬」として販売しています。医療用としては「ポビドンヨード明治」の名称で、ジェネリックとして販売。以前の「イソジン」と全く同じ成分と添加物なのに後発品、という奇妙な状況になっています。
マスコットのカバくんは、Meiji Seikaファルマが創ったキャラクターですので、そのまま「明治うがい薬」のマスコットとなりました。一方で、シオノギ製薬も新たに「イソジン」ブランドのマスコットキャラクターを発表したのですが、これがカバくんにあまりにもそっくりだったため、裁判となりました。
結果として和解が成立し、ムンディファーマは新たに「イソジン」ブランドのマスコットキャラクターとして、イヌをモチーフとしたイソくんを発表しました。これもカバくんに雰囲気が似ていますけどね・・・(個人の感想です)。meijiのカバくんは、お菓子の「カールおじさん」などを手掛けた会社が手がけただけあって秀逸なデザインです。一朝一夕で真似できるものではありませんね。
なぜムンディファーマは「イソジン」ブランドを取り戻したかったのか?
大きな理由として、イソジンの知名度に乗っかって、ムンディファーマの日本での知名度を上げたい、という願望があると思います。一般薬、いわるゆOTC医薬品は医療用医薬品とは違って、テレビコマーシャルなどを使って自由にPRができるので、一般の人に社名を知ってもらうことにつながるのです(知名度向上が理由でOTC薬を手放さない製薬企業も多いです)。ムンディファーマは数年以内に日本でOTC医薬品を発売すると発表しています(既に海外で販売されている女性のデリケートゾーン向け消毒薬や傷薬を投入予定)。
またムンディファーマは、日本での悪性リンパの医療用医薬品の強化を計画に入れており、イソジンブランドの獲得は日本市場を狙うための、今後の布石と言えそうです。「イソジン」は医療用もOTC用も両方ありますので、知名度アップにはうってつけです。メリットはそれだけではありません。「イソジン」は優秀な人材の確保に充分な効果を発揮します。人はまったく知らない会社よりも、知名度のある製品を扱っている会社の方へ集まってくるからです。ムンディファーマの社員は現在約50名と少なく、社員数は今後倍以上に増えると言われています。
イソジン対決の結果が気になるところですが、こちらはMeiji Seikaファルマに分がありそうです。本家カバくんのキャラクターの魅力、それから既に「meiji」という名称が「イソジン」に負けないくらいのブランド力を持っていますので、“うがい薬”や“ポピドンヨード”に「明治」と屋号がつくだけで、ブランドとして成立してしまっている気がするのです。いずれにせよ、本当の勝者は数年経たないと分からないですね。
一般名:ポビドンヨード
製品名:イソジン
含嗽剤
塩野義製薬
ムンディファーマ