インスリン グラルギン(遺伝子組み換え)/インスリンのバイオ後続品

▼インスリン グラルギンとは?

「インスリン グラルギン」は、インスリン療法として用いる糖尿病の薬で、遺伝子組み換えによって創られた注射剤です。細胞内への糖の取り込み、肝臓での糖新生の抑制、肝臓・筋肉でのグリコーゲン合成促進作用などにより血糖値を下げます。

「インスリン グラルギン」は、遺伝子組み換えによって創られたインスリン注射薬です。身体の基礎的なインスリン分泌を補うために糖尿病患者に使用します。効き目が続く「持効型」に分類されるインスリン製剤で24時間安定した効果が期待できます。1日1回就寝前に投与する場合が多いようですが、朝に投与する場合もあります。患者が日中一番安定しない時間を狙って作用させるために、作用時間を逆算して投与するのが一番効果的だと言われています。

インスリンには、生理的な血糖変動を安定させるために常に分泌され続ける基礎インスリンと、食後の血糖上昇を抑制するための追加インスリンの2種類がありますが、「インスリン グラルギン」は、基礎インスリンを補充するものです。

▼ランタスの後続品

「インスリン グラルギン」は、先発品の「ランタス」と同じアミノ酸配列を有する、いわゆるバイオ後続品(BS)です。BS(バイオシミラー)とは、国内で承認されたバイオテクノロジーを応用した医薬品で、安全で価格が安いことが特徴です。「インスリン グラルギン」は、日本初となるインスリン製剤のバイオシミラーとして2015年8月に発売されました。遺伝子組換え技術は、インスリンやインターフェロンや成長ホルモンなど、現在バイオ医薬品には欠かせない技術となっています。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、かわいい白ウサギ(ラット)。遺伝子組換え製剤ということで、研究に使うラットのイメージを当てたのでしょう。こうやって、ウサギたちのおかげで、新しい薬が出来ているのですね。感謝。

▼インスリンとは

インスリンは、膵臓に存在するホルモン分泌細胞の塊である膵島(ランゲルハンス島)のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種で、血糖を下げるホルモンです。人の膵臓は、約200単位のインスリンを保有していて、健常人の1日のインスリン分泌量の50%が常時分泌される基礎分泌で、残りの50%が食事に反応して分泌されるインスリンとなります。基礎分泌量は1日当たり18~32単位(0.7~1.3mg)です。

▼他のインスリン製剤との違い

インスリン製剤には“中間型〜持効型(基礎分泌補充)”と“速効型〜超速効型(追加補充)”とふたつの“混合型”があります。「インスリン グラルギン」は“持効型”で決まった時間に注射しますが、例えば「ノボラピッド」は“超速効型”で食直前に注射します。作用機序もそれぞれ異なります。
「インスリン グラルギン」は、肝臓におけるグルコースの発生を阻害したり、筋肉や脂肪組織へのグルコースの取り込みを促進して血糖値を下げます。「ノボラピッド」は、膵臓のインスリンと、構造が少し異なるインスリンで、細胞のインスリン受容体に結合してブドウ糖の取り込みを促進し、血糖値を下げます。インスリン製剤によって、効果が発生するまでの時間や持続時間は異なりますので、インスリン注射は、人間の身体本来が持っているインスリン分泌と同じになるように使うことが大切です。


一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
製品名:インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」
持効型溶解インスリンアナログ製剤
イーライリリー

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