ルムジェブ/吸収を速めた新世代の超速効型インスリン

自分らしく、前へ。
ヒューマログの意志を受け継ぎ、さらなる進化を目指した超速効型インスリン

▼ルムジェブとは?

「ルムジェブ」は、健康な人のインスリン分泌により近いインスリン動態を再現し、血糖値を下げる薬剤です。既存のインスリン製剤よりも皮下からの吸収を速めた“超速効型”インスリンアナログ製剤です(超超速攻型とも呼ばれています)。【インスリン療法が適応となる糖尿病】を効能・効果として承認されました。既存品であるインスリン製剤「ヒューマログ」の改良版といえる新世代のインスリンです。

「ルムジェブ」は、既存薬「ヒューマログ」の有効成分に添加剤(トレプロスチニルナトリウム、クエン酸ナトリウム)を加えることで、皮下からの吸収を速めました。日本人1型糖尿病患者で比較試験を行った結果、「ルムジェブ」は「ヒューマログ」に比べて最高濃度の50%に達する時間を13分、曝露持続時間を88分短縮しています。

国際共同第III相臨床試験〔PRONTO-T1D試験(日本人167名含む)およびPRONTO-T2D試験(日本人93名含む)〕において、「ルムジェブ」は食直前投与の「ヒューマログ」に対する非劣性が確認されました。また、食後血糖値の上昇の低減について、食事負荷試験の食後1時間および2時間ともに優越性が示されています。

「ルムジェブ」は基本的に、食事直前(食事の前2分以内)に1回2~20単位を皮下注射します。また、必要であれば食事開始後20分以内に投与することも可能なので、既存薬から「ルムジェブ」へ切り替えても、患者の生活リズムを大きく変える必要がありません。

従来のインスリン製剤は、注射後に食事を15〜30分待つ必要がありましたし、外食などで食事が運ばれてくるのが大幅に遅れれば逆に低血糖になってしまう危険がありました。それが“超速効型”の「ルムジェブ」では、食事の直前(2分以内)の注射で間に合うようになりました。「ルムジェブ」は食事開始後にも投与できるため(食事開始後20分以内)、食事内容に応じて、インスリンの量を調整することも可能です。

“超超速攻型”とも呼ばれる「ルムジェブ」の登場で、インスリンは食後の生理的分泌に、また一歩近づいたと言えます。

▼ルムジェブの副作用

「ルムジェブ」による重大な副作用として、既存薬「ヒューマログ」と同様に、低血糖、アナフィラキシーショック、血管神経性浮腫を生じる可能性が報告されています。

特に「ルムジェブ」は素速く作用するので、他の食事時インスリンに比べて低血糖が早期に発現する可能性があります。

インスリン製剤は、効き目がある反面、過剰に投与すると血糖を下げ過ぎてしまうリスクも含んでいます(低血糖)。患者が自分で腹の下などへ注射する薬ですので、患者自身が薬のことをきちんと理解している必要があります。

▼ヒューマログとルムジェブの違い

「ルムジェブ」の有効成分(インスリン リスプロ)は「ヒューマログ」と同じですが、血糖降下作用がより速く発現するように、添加剤としてトレプロスチニルとクエン酸を配合しています。トレプロスチニルにより注射部位の局所血管が拡張し、クエン酸により血管透過性が亢進することで、皮下投与後初期のインスリン リスプロの血中への吸収が速くなり、結果的に「ヒューマログ」よりも速く血糖降下作用を発現します。

ヒューマログ 有効成分:インスリン リスプロ 食直前15分以内に投与 種類が豊富。超速効型と中間型の混合製剤も
ルムジェブ 有効成分:ヒューマログと同じ 食直前2分以内に投与(食事開始後は20分以内) ヒューマログよりも立ち上がりが速く、キレが良い※

※ヒューマログよりも効果発現が6.4分、最大効果到達時間が19.7分早い

▼1型糖尿病と2型糖尿病

糖尿病には1型と2型が存在します。「ルムジェブ」の適応は【インスリン療法が適応となる糖尿病】であり、主にインスリン治療が不可欠な1型糖尿病が対象となっています。

1型糖尿病は、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が、主に自己免疫によって壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。「ルムジェブ」のようなインスリン製剤を注射して、治療します。

一方、2型糖尿病は生活習慣や肥満などによって、インスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、2型糖尿病に使用される経口血糖降下薬に加えて、「ルムジェブ」のようなインスリン製剤が処方されます。つまり基本は食事+運動で、ダメなら投薬ということです。

▼インスリンとは

インスリンは、膵臓に存在するホルモン分泌細胞の塊である膵島(ランゲルハンス島)のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種で、血糖を下げるホルモンです。人の膵臓は、約200単位のインスリンを保有していて、健常人の1日のインスリン分泌量の50%が常時分泌される基礎分泌で、残りの50%が食事に反応して分泌されるインスリンとなります。基礎分泌量は1日当たり18~32単位(0.7~1.3mg)です。

▼速攻型と中間型と混合型

インスリン製剤には“中間型〜持効型(基礎分泌補充)”と“速効型〜超速効型(追加補充)”とふたつを合わせた“混合型”があります。「ルムジェブ」は超速効型のインスリン製剤です。速効型〜超速効型は食後の血糖効果作用が大きく、中間型〜持続型は食間の血糖降下作用が持続します。

インスリン製剤の中でも、近年登場した【超速効型インスリン製剤】は作用発現時間が2〜15分以内と速く、最大作用時間が約2時間と短いのが特徴です。これによって、食直前の投与で食事による血糖値の上昇を抑えることが可能となります。現在、超速効型インスリン製剤として、「ノボラピッド」「ヒューマログ」「アピドラ」の3製品が広く使用されています。

新しい超速効型インスリンが、すべての患者に最適とはいえません。インスリン製剤によって、効果が発生するまでの時間や持続時間は異なりますので、インスリン注射は、その人の身体本来が持っているインスリン分泌と同じになるように使うことが大切です。

▼主なインスリン注射薬





▼ルムジェブのキービジュアル

「ルムジェブ」のキービジュアルは、“速やかな血中濃度の立ち上がりと消失”です。時空がねじ曲がったような不思議な道が効果的で、思わず目を惹かれます。

中年男性の後方のねじ曲がっている道は、食後の「血清中インスリン濃度」のイメージです。平坦な道は“速やかなインスリンの消失”を表現しています。【速く効いて、キレが良い】という製品コンセプトを、合成を駆使して1枚の写真で見せることに成功しています。


一般名:インスリンリスプロ(遺伝子組み換え)
製品名:ルムジェブ 注ミリオペン、注ミリオペンHD、注カート、注100単位/mL
抗糖尿病剤/インスリンリスプロ注射液
イーライリリー

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