メトアナ/2型糖尿病の基礎治療薬とDPP-4の配合錠

▼メトアナとは?

「メトアナ」は、2種類の血糖降下薬が配合された2型糖尿病治療剤(「スイニー」+メトホルミン塩酸塩)です。

成分のひとつは、DPP-4阻害薬の「スイニー」(アナグリプチン)。「スイニー」は、インクレチンという消化管ホルモンの分解を防ぎ、その濃度を高めてインスリン分泌を促します。血糖依存性なので、血糖値が高いときによく効くのが特徴です。

もうひとつの成分は、2型糖尿病の基礎治療薬として認められている“メトホルミン”です。“メトホルミン”は、ビグアナイド系と呼ばれるインスリン抵抗性改善薬で、肝臓で糖が作られるのを抑制したり、末梢組織で糖を取り込むなど、複数の作用によって血糖値を下げる薬です。

「スイニー」とメトホルミンの組み合わせは、それぞれ異なる作用機序を併せ持つ配合であり、2種類の薬をひとつにすることで、患者の服薬アドヒアランスを向上して、より良い血糖コントロールが得られると期待されています。また、単剤療法を上回る血糖改善効果が得られると言われています。

▼スイニーとは?

スイニー」は国内6番目の選択的DPP-4阻害剤で、2型糖尿病治療薬です。三和化学は、糖尿病食後過血糖改善剤「セイブル」を柱に糖尿病周辺を重点領域に展開しており、「スイニー」もそのひとつです。
DPP-4阻害薬は、従来のインスリン分泌促進薬とは作用機序が異なります。HbA1c値が低下し、血糖コントロールが改善されます。

▼メトホルミンとは?

メトホルミンは2型糖尿病の治療薬の中でも50年以上の歴史を持つ古い薬です。従って、安全性・有効性のデータが豊富に存在します。臨床研究の結果では、2型糖尿病に最も効果の高い薬はメトホルミンである、と言われています。日本で普及していない理由のひとつとして、副作用の“乳酸アシドーシス”が指摘されていますが、死亡率は10万人で年0.3人とかなり低いです。

2型糖尿病に薬を使う場合、まずメトホルミンを検討し、それがダメなら他の薬で代用する、というのが欧米のスタンダードとなっています。2017年現在、米国内科学会(ACP)の発行するガイドラインでも、メトホルミンはいまだに第一選択薬として支持されています。

「メトアナ」は、2型糖尿病の基礎治療薬であるメトホルミンと、日本では実質的な第一選択薬となっているDPP-4阻害剤を配合した糖尿病治療薬というわけです。

▼糖尿病とは?

糖尿病には1型と2型が存在します。1型糖尿病は遺伝性の疾患で(遺伝なので痩せている人や若い人もなります)、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。インスリン注射を打って、治療します。

一方で2型糖尿病は、生活習慣や肥満などによってインスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。「スイニー」は、2型糖尿病に対して使用する薬です。2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、「スイニー」のような2型糖尿病治療薬が処方されます。つまり基本は食事+運動で、ダメなら投薬ということです。

「スイニー」は“中性脂肪やLDLコレステロールを下げる”ことが特徴です。また、薬価が安いということもメリットのひとつです。

▼メトホルミンの禁忌が見直し(追記:2019年7月)

2019年6月、厚生労働省はメトホルミン含有製剤について、製品添付文書の「使用上の注意」を改訂するように通知しました。それによって、従来【禁忌】だった“腎機能障害”の患者にも状態によっては使用可能となります。

具体的には、いままで軽度〜中等度以上で【禁忌】とされていた腎機能障害を「重度の腎機能障害(eGFR 30mL/分/1.73m2未満)は【禁忌】」という内容に改められます。今回の改訂で、中等度の腎機能障害は【慎重投与】となり、1日の最高投与量の目安を設けることでカバーしていきます。

▼DPP-4阻害剤とは?

選択的DPP-4阻害剤は従来の糖尿病治療薬と違って、インスリンを過剰に分泌させません。低血糖のリスクがほとんどなくなるということです。DPP-4阻害剤は新しい種類の薬なので、薬価が高いのがデメリットですが、今のところ周囲に敵なし、という感じで売れ行きが増加しています。DPP-4系の糖尿病治療薬は日本では事実上、第一選択薬(ファーストチョイス)の地位を築いています。禁忌や慎重投与となる条件が少なく、幅広い層の患者をフォローしているので、いろいろと使い勝手が良いのだと思います。残された課題は、長期安全性の立証と大血管合併症の発症や予防に関するエビデンスの確立と言われています。

▼主なDPP-4治療薬の特徴
トラゼンタ】:胆汁排泄型、腎機能に関係なく使用可
テネリア】:胆汁・腎排泄型、半減期が24時間と長い、日本発
【スイニー】:腎排泄型、中性脂肪やLDLコレステロールを下げる効果
オングリザ】:腎排泄型、解離半減期が長く、効果が持続する
マリゼブ】:腎排泄型、週1回で他のDPP-4阻害剤と同等の効果




▼糖尿病市場は配合剤が主流へ

市場を拡大し続けているDPP-4阻害剤ですが、売上高を見るとやや頭打ちの状態です。DPP-4トップの「ジャヌビア」は、2014年の薬価改定から下降気味で、売上が伸びているのは「トラゼンタ」と「テネリア」の2製品となっています(2013〜2016年度)。

この状況を打破するために期待されているのが配合剤です。糖尿病治療薬市場では、DPP-4阻害剤と他の薬剤を合わせた配合剤が増えています。これまで、ビグアナイド系やチアゾリジン系を配合した製品が発売されてきましたが、SGLT-2阻害剤の配合錠も3製品(「カナリア」「スージャヌ」「トラディアンス」)が登場しました。生活習慣病領域という大きな市場に、単剤と配合剤が乱立している状態です。

この構図、何かに似ていませんか? そうです。降圧剤(高血圧治療薬)の市場に良く似ています。降圧剤はARB+他の薬剤という配合剤が流行り、急速にシェアを高めていきました。

DPP-4阻害薬+SGLT2阻害薬の配合剤の売上(2018年4~6月期)を見ると、「スージャヌ」が15億円(通期予想45億円)、田辺三菱製薬の「カナリア」が14億円(2018年4〜6月だけで単剤「カナグル」と並ぶ売上)と当初の予想を大幅に上回っています。降圧配合剤のように配合用量や製品名が複雑でないことも売上を後押ししているようです。かつての降圧配合剤(ARB+他の薬剤)をしのぐスピードで糖尿病市場の配合剤へのシフトが進む可能性もあります。



▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、オッドアイの白猫。オッドアイは、左右の瞳の虹彩色が異なる(虹彩異色症)という現実に存在する猫です。特に白猫に多く見られます。人間でもオッドアイは存在して、ミュージシャンのデビッド・ボウイが有名です。

片方が青い瞳で、もう片方が黄色いという猫を使って、DPP-4+BGの配合剤を表現しています。眼の力に惹き寄せられるような巧いビジュアルです。まだ手垢のついていない面白いところに着目したな、という印象。アイディアの勝利です。白猫という存在も、製品の品格と画面全体の美しさを高めています。

一般名:アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩
製品名:メトアナ配合錠LD,HD
糖尿病用剤/選択的DPP-4阻害剤/ビグアナイド系薬剤配合剤/配合剤
三和化学研究所

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