▼プロトピックとは?
「プロトピック」は、過剰な自己免疫反応を抑制することでかゆみや炎症を抑えるアトピー性皮膚炎治療剤です。国内では、1999年に認可されました(2003年に小児用も発売)。
製品名は、プログラフ(タクロリムス水和物の商標)の【プロ】とトピカル(局所)とアトピーの【トピック】を組み合わせて命名されました。有効成分である“タクロリムス”は筑波山麓の土壌から偶然発見されたということです。
▼プロトピックの特徴
アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬で皮膚のかゆみや炎症を抑制して、皮膚の状態を良好に保つことが必要です。
「プロトピック」は炎症を抑制する効果が高い薬剤(ミディアム~ストロングクラスのステロイドと同程度)にも拘らず、ステロイド外用薬ではないので、長期間の使用でみられるような「皮膚萎縮」や「毛細血管拡張」といった副作用がほとんど現れないのがメリットです。
ステロイドの維持期に置き換えて使えることで、“ステロイドの使用を減らせる”というメリットがあります。外用薬(塗り薬)のため、全身性の作用がなく(他に影響を与えにくい)、副作用を少なくできると考えられています。
「プロトピック」は有効成分の分子量が大きいので、皮膚の状態の悪いところからは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されないと考えられています。効いて欲しい箇所には効いて、改善した箇所やもともと正常だった皮膚にはほとんど吸収されないので、ステロイドのように塗り過ぎを心配しなくて良い薬剤です。
▼プロトピックの副作用(刺激感)
「プロトピック」は、薬を塗った直後に一時的に皮膚の刺激感(ほてり、ヒリヒリ、かゆみ)が出ることが報告されています。これは【灼熱感】と云われ、症状には個人差があります。薬の塗布を続けて、通常1週間くらいで治まります。
入浴時や入浴直後には身体がほてった状態になるので、刺激感を強く感じることがあります。そのため、入浴後にほてりが少なくなってから「プロトピック」を塗ると良いとされています。また、保湿クリームを塗ったり、塗布した箇所を冷やしたりすると刺激感を抑えることができます。
刺激感がひどい時には、医師や薬剤師に相談しましょう。ステロイドを短期間使用してから「プロトピック」へ切り替えるという方法もあります。
▼アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能障害(搔破)、免疫異常、搔痒の3つがお互いに影響して生じる病態で、これらは【三位一体病態論】と呼ばれています。
アトピー性皮膚炎の外用薬治療では、【プロアクティブ療法】が推奨されています。プロアクティブ療法とは、皮膚症状が治療により一時的に良く見えても、皮膚の奥では未だに炎症状態がくすぶり続けているために、通常は保湿剤の外用で過ごし、1週間のうち1~2回はステロイド軟膏などで炎症症状を治療するという考え方です。
アトピー性皮膚炎の治療目標は、症状が認められない、あるいは症状があっても軽微であり、かつ日常生活に支障がない状態とその状態の長期維持です。
このことから、既存のステロイド外用薬だけの基本治療だけでなく、アトピー性皮膚炎の病態形成や進展の要因(皮膚バリア機能の低下、炎症、かゆみ)を抑制できる、寛解導入および寛解維持療法において長期連用可能な薬の開発・承認が求められています。
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、ハートの上で仲良く座る親子。子供は「小児用もありますよ!」という意味が込められています。“ステロイドではない”という製品の特徴を表した優しくあたたかいビジュアルに仕上がっています。
販売名:プロトピック軟膏0.1%、0.03%小児用
一般名:タクロリムス水和物 軟膏
アトピー性皮膚炎治療剤(免疫抑制外用剤)
JT
鳥居薬品