ロケルマ/45年ぶりの新規、高カリウム血症改善薬

▼ロケルマとは?

アストラゼネカから2020年に発売された高カリウム血症改善薬「ロケルマ」は、本邦初となる非ポリマー無機陽イオン交換化合物の高カリウム血症改善剤です。

「ロケルマ」は、高カリウム血症治療薬としては、実に45年ぶりの新規有効成分を持った医薬品で、腎領域アンメットメディカルニーズへの新しい選択肢として期待されています。経口懸濁用の粉末製剤で、ピーク時の売上は158億円を予測しています。

「下げる(lower)」と「カリウム血症(kalemia)」から「LOKELMA」と命名されました。「ロー(下げる)ケルマ(カリウム)」と憶えると良いと思います。

「ロケルマ」は、カリウムイオンの直径に近い平均約3Å(オングストローム)の均一な微細孔構造を持ち、消化管内でカリウムイオンを選択的に捕捉するというのが特徴です。初回投与開始後1時間から血清カリウム値の低下を示し、水分による膨潤が起こりません。

▼高カリウム血症とは?

高カリウム血症とは、血清カリウム値が異常に上昇した状態(通常5.0 mmol/lを超えた場合)を指します。国内では30万人を超える患者(主に慢性腎臓病の進行または心不全治療薬の副作用による)が、高カリウム血症を発症しています。特に、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤などの治療薬を使用中の患者では、発症するリスクが高くなります。

高カリウム血症は、循環器、腎および代謝疾患に伴い血清カリウム値が上昇した重篤な病態で、致命的な不整脈や心停止を引き起こすリスクが高くなります。日本人の高カリウム血症患者のうち、56.4%が慢性腎臓病を、33.7%が心不全を合併していることが報告されています。

なお、多くの血液透析治療を受けている末期腎不全患者が、血液透析治療を行っているにも関わらず高カリウム血症を伴っており、有病率および重症度は透析間隔が長期になると高くなるため、次の透析治療までの日数が長くなる【最大透析間隔後】に最も高くなります。

▼ロケルマの特徴

【1】 カリウムを選択的に捕捉する
【2】 消化管全体で作用する(胃ではほとんど作用しない)
【3】 水分で膨潤しない(便秘が起こりにくい)
【4】 服薬コンプライアンスが良好(食間や食直前へ変更する必要なし)

「ロケルマ」は、既存の高カリウム血症治療薬に比べて、便秘が起こりにくく、日常的に使用されている制酸剤や緩下剤との同時服用も問題ないので、既存薬(ケイキサレートやカリメート)に比べて使い勝手が良い製剤といえます。一方で、緊急時に使用できない、用量設定や投与方法が複雑といったデメリットもあります。

用量設定や投与方法に関しては、「ロケルマを服用されている方へ」という分かりやすい冊子が用意されており、そこに服用の手引きや薬の溶かし方、副作用についての詳細が載っています。

▼ロケルマの副作用

「ロケルマ」の主な副作用は、浮腫(浮腫、体液貯留、全身性浮腫、末梢性浮腫、末梢腫脹)、便秘などが報告されています。

また、低カリウム血症やうっ血性心不全には注意が必要です。手足のだるさや筋肉のこわばり、呼吸困難、夜間の排尿などは、低カリウム血症の疑いがあります。動悸やむくみ、呼吸のしにくさを感じたら、うっ血性心不全の疑いがあります。このような症状を感じた場合は、すぐに主治医や薬剤師に相談しましょう。

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▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、多面体ルービックキューブのような微細孔構造がカリウムイオンを捕捉しているイメージです(ロケルマの均一な微細孔構造は、カリウムイオンの直径に近い平均約3オングストロームという特徴があります)。製品の特徴をアカデミックに表現した未来感を感じさせるビジュアルに仕上がっています。


一般名:ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物
製品名:ロケルマ懸濁用散分包5g, 10g
高カリウム血症改善薬/非ポリマー無機陽イオン交換化合物
アストラゼネカ
2020年5月20日発売

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