オルミエント/アトピー性皮膚炎の適応追加

オルミエント

次の一歩へ。

2020年12月、オルミエントは経口JAK阻害薬としてはじめて「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能又は効果を取得しました。

▼オルミエントとは?

「オルミエント」は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤に分類される関節リウマチの薬(関節リウマチ治療に対する2番目のJAK阻害薬)です。これまでにJAK阻害薬として「ゼルヤンツ」「オルミエント」「スマイラフ」「リンヴォック」の4製品が販売され、治療の選択肢が広がっています。

「オルミエント」は、1日1回経口投与の選択的JAK1/2阻害剤で、特にJAK-1を選択的に阻害する薬剤です。JAK-1に選択性を持つことで、他に影響を与えにくいため、副作用を少なくできると考えられています。基本的に、単剤または「リウマトレックス」との併用で用いられます。

「オルミエント」は、細胞内に存在するチロシンキナーゼの一種であるJAKを阻害することで炎症を抑制します。一般的にJAKは、関節リウマチにおける炎症性サイトカインなどの産生に深く関与しており、JAK阻害薬は細胞内のシグナル伝達回路(JAK Pathway)を阻害することで、抗炎症作用を発揮する。JAKには、4種類のサブタイプ(JAK-1、JAK-2、JAK-3、TYK-2)があり、各サイトカイン受容体に会合しているJAKの種類は、サイトカインによって異なることが認められています。

●JAK-1を選択的に阻害するJAK阻害薬
●注射薬ではなく1日1回の経口薬
●既存治療で効果不十分な関節リウマチに高い効果
●重篤な感染症や悪性腫瘍の発現に注意

関節リウマチの治療には通常、痛みを抑えるNSAIDsや炎症を抑えるステロイド、抗リウマチ薬(DMARD:ディーマード)が使用されます。これらの薬を使用しても状況が改善されない場合、生物化学的製剤(レミケードなど)やJAK阻害剤(オルミエントなど)が使用されます。生物学的製剤は【細胞外】で作用するのに対し、JAK阻害剤(オルミエント)は【細胞内】で作用する薬剤です。

国内における関節リウマチ治療では、まず免疫抑制薬である「リウマトレックス」(メトトレキサート)を使い、その次に生物化学的製剤、最後にJAK阻害剤というケースが多いです。しかし、海外では生物化学的製剤とJAK阻害剤が同等の格付けとなっていて、今後は日本国内でもJAK阻害剤の処方が普及していくと言われています。

▼JAK阻害薬の比較

ゼルヤンツ 1日2回 JAK-1とJAK-3を阻害 併用注意薬が多い
オルミエント 1日1回 JAK-1とJAK-2を阻害 プロベネシドとの併用に注意
スマイラフ 1日1回 JAK-1とJAK-3を阻害 併用注意薬なし
リンヴォック 1日1回 JAK-1を阻害 CYP3Aを強く阻害・誘導する薬に注意

※上記JAK阻害薬には、優先順位は明確に定められていません。今後データを積み重ねていけば、JAK阻害薬の使い分けも検討されるでしょう。

▼関節リウマチ(RA)とは?

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)は、関節滑膜の破壊を特徴とする慢性の全身性炎症疾患です。自己免疫の異常によって起こると考えられています。自己免疫がおかしくなると、自分の身体の組織を敵と思い込み、自身の免疫機能が攻撃してしまうのです。関節リウマチの主な症状としては、深刻な痛みや腫れを伴います。国内には約70万人の関節リウマチ患者がいると言われています。

それまでの関節リウマチの治療には対症療法しかなく、痛みや腫れに対して、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬で痛みを和らげることしか出来ませんでした。抗リウマチ薬も開発されましたが、関節破壊の進行を抑制出来たのは一部の患者だけという結果でした。近年は“生物学的製剤”の登場で、既存の抗リウマチ薬が効かなかった患者に対して、寛解あるいは低疾患活動性の達成まで可能になっています。

関節リウマチは基本的に、免疫抑制薬の「リウマトレックス」や生物学的製剤の「レミケード」などでの早期寛解を目指す治療が行われていますが、既存の治療では十分な効果が得られない場合も多く、常に新たな治療選択肢が必要とされています。

▼オルミエントの副作用

主な副作用は、上気道感染(9.7%)、帯状疱疹(3.9%)などであり、臨床検査値異常にはLDLコレステロール上昇(43.2%)が認められています。また、重大な副作用としては感染症、消化管穿孔、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、肝機能障害、黄疸、間質性肺炎が報告されています。

▼リウマチの治療

リウマチの治療方法は大きくふたつに分類できます。
【1】:痛みをとりのぞく薬(非ステロイド性鎮痛薬、ステロイド)
【2】:炎症をブロックしてリウマチ自体を抑える薬(抗リウマチ薬)

抗リウマチ薬は大きく4つに分類できます。
【1】免疫調整薬:リマチル、アザルフィジン、シオゾール他
【2】免疫抑制薬:ブレディニン、リウマトレックス他
【3】生物学的製剤:レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ他
【4】JAK阻害薬:ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック

関節リウマチ治療薬は、売上の伸長が著しく、特に「ヒュミラ」、「アクテムラ」、「シンポニー」、「オレンシア皮下注」は二桁成長しています(2016年現在)。なお「ヒュミラ」は、世界での売上が5年連続の1位で、年商160億ドルを超えている驚異的なブロックバスターです。

▼関節リウマチに関連する薬





▼アトピー性皮膚炎の治療薬として

2020年12月、「オルミエント」の適応が追加されました。追加された適応は「アトピー性皮膚炎」、用法用量は「成人、1日1回4mg経口投与。なお、患者の状態により「2mgに減量」となっています。 アトピー性皮膚炎の治療は既存の中心的治療薬だけでなく、アトピー性皮膚炎の病態形成や進展の要因(皮膚バリア機能の低下、炎症、かゆみ)を抑制できる長期使用可能な薬剤の開発・承認が求められています。 「オルミエント」の適応が追加されたことで、アトピー性皮膚炎治療に新たな選択肢が加わり、服薬する錠剤数を減らして、患者のQOL向上(服薬の負担軽減)につながることが期待されます。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、自然を愉しむ女性。手のひらを太陽に向けて、人生の次の一歩を踏み出そうとしています。

オルミエントのキービジュアル

販売名:オルミエント錠4mg、2mg
一般名:バリシチニブ錠
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
関節リウマチ治療薬
イーライリリー

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