ファムビル/再発性単純疱疹にPITという選択

ファムビル

再発性の単純疱疹にPITという新たな選択

【PIT】Patient Initiated Therapy:あらかじめ処方された薬剤を初期症状に基づき患者判断で服用開始する治療方法

▼ファムビルとは?

「ファムビル」は、単純疱疹や帯状疱疹の原因となる“ヘルペスウイルス”の増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬です。

ヘルペスウイルスは、細菌よりも小さく、生き物の細胞内で増殖します。ヘルペスウイルスの症状の特徴として“水ぶくれ”が挙げられます。代表的な物に、単純疱疹ウイルスと帯状疱疹ウイルスがあり、感染すると唇や顔面、腰などの皮膚に発赤や水ぶくれが発生し、ピリピリと激しく痛み出します。

「ファムビル」は、主に単純疱疹(口唇・顔面ヘルペス、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペス)や帯状疱疹などヘルペスウイルスが原因の皮膚病に効果を発揮します。ウイルスの増殖を抑える効果があるので、ウイルスが増殖する前の発症初期に用いると効果的です(ヘルペスの発症期間を最大で2週間ほど縮める事が可能)。

▼ファムビルの特徴

「ファムビル」は、プリン骨格をもつ核酸類似体の抗ヘルペスウイルス薬で、服用回数を従来品の1日5回から3回に減らすことに成功しています。また「ファムビル」は、ウイルス感染細胞内での安定性が高く、耐性を生じにくいという特徴があります(耐性が出来ると薬が効きにくくなります)。

帯状疱疹の治療薬としては、これまで「バルトレックス(バラシクロビル)」、「アラセナ(ビダラビン)」、「ゾビラックス(アシクロビル)」などの薬が使用されていましたが、抗ウイルス作用を示す有効成分はアシクロビル1種類しかない状況でした。

「ファムビル」は、「ゾビラックス(アシクロビル)」に次ぐ2番目の活性代謝物(ペンシクロビル)として、ウイルスのDNA合成を阻害することによって、ヘルペスウイルスの増殖を抑制します。2013年時点で発売から5年が経ち、帯状疱疹の治療薬としてかなり定着しつつあります。


バルトレックス500mg
バルトレックス1000mg
バルトレックスジェネリック500mg10錠

▼帯状疱疹とは?

帯状疱疹とは、60歳代を中心に高齢者に多くみられる(約6対4で女性に多い)病気ですが、疲れやストレスがきっかけとなるので、若い人が発症することもあります。耐性が出来るので、通常は一生に一度しか罹りません(免疫が低下している人を除く)。

なお、初めて帯状疱疹ウイルスに感染した時は“水ぼうそう”として発症します。治った後も、ウイルスは体内の神経節に潜んでいて、加齢やストレス、過労などがきっかけで免疫力が低下すると、長い間潜んでいたウイルスが再び活動を始め、“帯状疱疹”として発症します。

帯状疱疹の治療は、抗ヘルペスウイルス薬を中心に行われます。「ファムビル」はウイルスの増殖を抑制することで、急性期の皮膚症状や痛みなどを緩和し、治癒期間を1~2週間短縮します。さらに合併症や後遺症を抑えることも期待されています。一般的に抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬は、発病早期に服用を開始するほど、治療効果が期待できます。薬の効果があらわれるまでには、2〜3日かかると言われています。十分な睡眠と栄養をとり、心も身体も休息することが回復への近道です。

▼帯状疱疹の痛みの種類は2つ

帯状疱疹の痛みには、“侵害受容性痛”と“神経障害性痛”の2種類が存在します。

“侵害受容性痛”とは、身体に強い刺激(怪我や火傷)を感じた時に神経が脳へ伝える一般的な“痛み”のことです。一方、“神経障害性痛”とは皮膚症状が改善した後も残る痛みで、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれ、長期間に亘って患者を悩ませるケースも少なくありません。

帯状疱疹の特徴的な症状を自覚したら、できる限り早く病院へ行くことが大切です。治療が遅れると、帯状疱疹後神経痛のリスクが高まると言われています。帯状疱疹は、基本的に身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状にあらわれるのが特徴です。胸から背中にかけてが最も多く、患者の50%以上が上半身に発症します。顔で言えば、特に眼の周囲が発症しやすい部分です。

帯状疱疹は、通常皮膚科で診療されることが多い病気ですが、痛みが深刻な場合は、ペインクリニックなどの痛みの専門家へ相談するのが良いかもしれません。

▼帯状疱疹の初期症状

・体がだるい、倦怠感、頭痛
・運動していないのに関節が痛む
・皮膚がチクチク、ピリピリとする。かゆみを感じる
・背中や腰がピリピリする。かゆみを感じる
・疱疹が現れる1〜2日前に発熱している

▼ファムビルの注意点:高齢者は薬剤性腎障害に注意

■精神神経系障害(幻覚、錯乱、見当識障害など)の副作用の報告あり
■腎機能障害患者では血中濃度上昇の危険がある

高齢社会を背景に増加傾向にある帯状疱疹という病気は、皮膚症状の痛みに加えて、長期に残る帯状疱疹治療後の神経痛も患者を悩ませています。特に後期高齢者は神経痛が残るリスクが高く、より適切な治療が必要とされています。しかも、高齢者は腎機能が低下していることもあり、薬による腎機能障害などの副作用には注意が必要です。

「ファムビル」を含め、現在発売されている経口抗ヘルペスウイルス薬は、すべて【腎排泄性】です(2017年に初の胆汁排泄型「アメナリーフ」が発売)。そのため腎機能が低下している高齢の患者には、適切な減量や投与間隔の調整が必要となってきます。

帯状疱疹は、皮膚の病気だと思われがちですが、痛みや腎障害など、他の要素にも気を配って治療する必要がある疾患なのです。

▼その他の帯状疱疹治療薬

ファムビルのキービジュアル

一般名:ファムシクロビル
製品名:ファムビル錠250mg
抗ウイルス剤/抗ヘルペスウイルス剤/腎排泄性
マルホ maruho
旭化成ファーマ
ノバルティス・ファーマ
2008年7月1日発売

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