▼ロンサーフとは?
「ロンサーフ」は、癌細胞の増殖を抑える抗悪性腫瘍剤です。主に大腸癌や胃癌の治療に用いられます。抗癌作用をもつ主成分の“トリフルリジン”と、補助成分の“チピラシル”のふたつの有効成分が配合された薬です。世界初の抗癌剤として、日本で創薬そして臨床のエビデンスを獲得した薬剤です。
“トリフルリジン”は、癌の遺伝子が複製される際に、チミジンの代わりに遺伝子構造内に取り込まれ、その機能障害を引起こすことで抗腫瘍効果を発揮します。補助成分の“チピラシル”は、トリフルリジンの分解を抑え、効果を持続させる役目を持っています(トリフルリジンを分解する酵素を阻害し、トリフルリジンの血中濃度を維持します)。
【効能】
▼治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
▼がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
「ロンサーフ」の適応は「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」で、1日2回(朝食後および夕食後)経口投与する薬剤です。投与量は体表面積に応じて調節していきます。基本的に【5日間連続投与後、2日間休薬】。このサイクルを2回繰り返した後、14日間休薬します。これを1クールとして投与を繰り返していきます。
▼増加している大腸癌死亡率および罹患率
近年、国内の大腸癌死亡率と罹患率は著しく増加しています。厚生労働省の「人口動態統計(2012)」によれば、女性の大腸癌死亡は、部位別に見た全悪性新生物による死亡の中で最多であり、男性でも肺癌、胃癌に次いで三番目となっています。約50年で、日本の大腸癌死亡は男女とも約10倍に増加しています。
「ロンサーフ」の承認は全世界で日本が初で、標準的な治療が困難で治癒切除不能な進行または再発の結腸、直腸癌の治療で新たな選択肢となると期待されています。
▼ロンサーフの特徴
「ロンサーフ」は、核酸系の抗癌剤で、代謝拮抗薬に部類されます。5-FUなど従来のフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬とは作用機序が異なる薬です。一次治療薬には選択されませんが、進行中の大腸癌、再発の大腸癌の選択肢のひとつとして期待されています。
使用が検討されるのは、標準的な抗癌剤による【一次治療】と【二次治療】(FOLFOX療法、FOLFIRI療法等)、そして【三次治療】(セツキシマブ、レゴラフェニブ等)を行った後に病状が悪化した場合です。進行中、再発の胃癌においても【三次治療】以降の治療選択肢となっています。
▼飲みあわせに注意する薬
フッ化ピリミジン系抗がん薬(5FU、フトラフール、ユーエフティ、 ティーエスワン、ゼローダ等)、その他の抗癌剤(メソトレキセート等)、リウマトレックス、アンコチル等
他の抗癌剤との併用について、有効性や安全性は確立していません。同時に用いる場合は、副作用の状態に注意する必要があります。
※特にフッ化ピリミジン系は重篤な骨髄抑制を起こすおそれがあり要注意。
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、手をとって支え合う登山中のカップル。ふたりが手を取り合っている姿は、トリフルリジンとチピラシル、ふたつの成分の“配合”を表しています。
ちなみに「プラビックス」でも似たようなシチュエーションのビジュアルがありました。
一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合錠
製品名:ロンサーフ配合錠T15, T20
抗悪性腫瘍剤/代謝拮抗薬
大鵬薬品
2014年5月発売