ファイザー/企業ロゴを刷新

SDGs Sustainable Development Goals
誰ひとり取り残さない
Pfizer Quality Biosimilars
すべての患者さんが最適な治療を受けられる世界をつくりたい

▼企業ロゴを刷新

2021年1月、ファイザー社は企業ロゴを22年振りに刷新したと発表しました。企業ロゴというものは、よっぽどのことがない限り、そう簡単には変えません(特に歴史のある企業ほどその傾向は強い)ので、これは結構なニュースとなりました。新型コロナウイルスや脱炭素社会の流れなど、経営を取り巻く状況が激しく変化するなか、ファイザーは新たなシンボルを使ってブランドイメージを転換しようとしています。

新しい企業ロゴでは、ファイザーの歴史と未来(変革をもたらす不屈の精神と最先端科学への尽力) を表現しています。二重らせんのマークの中に隠された意味は“DNA”です。それは企業のDNAであり、歴史と未来を表しています。

ファイザー社ロゴの歴史

ファイザー社ロゴの歴史

企業ロゴ変更の大きな理由は、ファイザーの経営方針が大幅に変更されたことが要因です。米国本社のサイトにも記載してありますが、上向きの二重らせんは、商業主義から最先端の科学への移行を象徴しているということです。具体的には、科学と患者にもたらす価値に重点が置かれます。

ファイザーは、資本主義に囚われず、人類が抱えるさまざまな課題の解決を目指していく方が、最終的には企業は繁栄していく、と考えているのでしょう。

▼SDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、「17のゴール」と「169のターゲット」から構成されています。「誰ひとり取り残さない(No one left behind)」という理念のもと、人類が抱えるさまざまな課題の解決を目指しています。

SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された国際目標で、2030年を年限とする17の国際目標が設定されました。現在、SDGsの推進は全ての製薬企業にとって必須となっています。しかし、持続可能な条件を満たしながら製品の開発を推進していくには、しかるべきコストが必要となる(利益が減る)のも必然です。

企業の経営は慈善事業ではありませんので、SDGsで世界に貢献しながらも、着実に稼がなければ自分たちが存続できません。そんな中、ファイザーはSDGsへの取り組みを戦略的に行っている製薬会社の代表と言えるでしょう。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発など、「社会的に善いことを行いながら稼ぐことは、両立できる!」というスタンスです。

▼バイオ後続品(BS:バイオシミラー)とは?

経済的な理由でバイオ医薬品による治療が受けられない患者さんもいます。バイオシミラーにより、ひとりでも多くの患者さんがバイオ医薬品による治療が受けられるように、ファイザーは、バイオシミラーの普及を通じてすべての患者さんが最適な治療を受けられる世界の実現を目指しています。

バイオ後続品とは、遺伝子組み換え技術で創られるバイオ医薬品のことです。2009年3月、厚生労働省は“後発医薬品”いわゆるジェネリックとは区別して“バイオ後続品(BS:バイオシミラー)”という新たな分類を定めました。分かりやすく言うと、バイオ医薬品のジェネリックということです。日本国内では、2009年に成長ホルモンの「ソマトロピン」(先発品はファイザーの「ジェノトロピン」)が、初めて承認されたバイオ後続品となります。

バイオ後続品は、先発品とは別の製薬会社によって開発されるため、宿主や培養方法に違いがあり、完全に一致した製品は造れません。その複雑な分子構造と特殊な製造過程ゆえに、先発品と異なる部分が出る可能性が高くなります。一般的な後発品医薬品(ジェネリック)に較べて、かなりハードルが高い製剤です。

そういうこともあって、一般的なジェネリックとは区別して“バイオシミラー”と呼んでいます。シミラーとは英語で“Similar:類似した”という意味で、やはり構造上の相違が懸念されているからだと思います。

▼バイオシミラー専任部隊で情報提供強化

ファイザーは、2018年12月に抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「インフリキシマブBS」を、2019年8月には抗HER2抗体「トラスツズマブBS」、さらに2019年12月には抗がん剤「ベバシズマブBS」をそれぞれ発売しました。

ファイザーは、「日本で初めて、オンコロジー領域におけるバイオシミラー3剤すべての上市を達成した」と強調したうえで、この3剤に「インフリキシマブBS」を加えた4剤で、「バイオシミラー市場で最多製品数を有した」として宣言しています。2019年12月からは、バイオシミラー専任の営業部隊を発足させ、積極的に情報提供活動を行っています。

▼インフリキシマブとは?

「インフリキシマブBS」は、先発品「レミケード」のバイオシミラー(BS:バイオ後続品)です。「インフリキシマブ」は関節リウマチ(RA)やクローン病などの原因に深く関わっている腫瘍壊死因子α(TNFα)の作用を阻害するヒト/マウスキメラ型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体で、主に関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの治療薬(生物学的製剤)として使われています。

「インフリキシマブ」は、体内で異常に増えている TNFα(ティーエヌエフ・アルファ)という物質の働きを抑えることにより、症状を改善します(TNFαは、炎症や痛みの発現に起因している体内の物質)。「インフリキシマブ」は主に関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、乾癬に使われています(クローン病、ベーチェット病、強直性脊椎炎、川崎病などの適応もあり)。


▼トラスツズマブとは?

「トラスツズマブBS」は、抗がん剤(抗悪性腫瘍剤)「ハーセプチン」のバイオ後続品(BS:バイオシミラー)です。HER2過剰発現が確認された転移性の乳がんや、治癒切除不能な進行・再発の胃癌の治療に使用されます。

▼ベバシズマブとは?

「ベバシズマブBS」は、2007年4月に承認された世界初の血管新生阻害薬「アバスチン」のバイオ後続品(バイオシミラー)で、他の抗がん剤と併用することでよい治療効果を発揮する薬です。効能・効果は【治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん】

がんは癌細胞の増殖に伴って、栄養を供給するための血管を新しく作ります(血管新生)。「ベバシズマブ」は、この血管新生を促すためにがん細胞が分泌するVEGFというタンパク質に結合して、血管の新生を防ぎ、栄養をゆき渡らせないようにして、がん増殖の速度を低下させる働きがあります。


▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、手と手を重ね合わせるドラマチックな写真。モノクロームにすることで、「誰ひとり取り残さない」というメッセージが真摯に伝わってきます。SDGsのカラフルなアイコンとの対比が効いています。上品な仕上がりのファイザーらしい広告です。

多くの製薬会社が自社が取り組むべきSDGsの優先順位付けを行っていますが、ファイザーの場合は、特に【SDG3(すべての人に健康と福祉を)】を自社の経営理念として、高い優先度を認めています。


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