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日本発、免疫チェックポイント阻害薬、
世界初、抗PD-1抗体
▼オプジーボとは?
「オプジーボ」は、“免疫チェックポイント阻害薬”と呼ばれる、がん細胞への攻撃を助ける抗癌剤(抗悪性腫瘍剤)です。胃癌、食道がん、大腸がん、非小細胞肺癌など、様々な癌の治療に用いられる分子標的治療薬のひとつで、遺伝子を組み換えた“ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体”です。
京都大学の本庶佑特別教授(2018年ノーベル賞受賞)の研究から生まれた「オプジーボ」は、今までになかった画期的な抗癌剤(免疫チェックポイント阻害剤)として、2014年9月に小野薬品工業から発売が開始されました。
「オプジーボ」がT細胞のPD-1と結合することで、免疫の働きのブレーキが解除されます。こうした作用によって、T細胞は妨害を受けることなく、がん細胞を攻撃できるようになります。
▼がん免疫療法とは?
従来の癌の治療は、手術、放射線療法、化学療法が3本柱と呼ばれてきました。既存の治療法は、直接癌を標的にした治療法です。一方、がん免疫療法は、薬剤が直接癌細胞を攻撃するものではなく、もともと身体に備わっている患者自身の【免疫】の力を利用して、癌細胞への攻撃力を高める治療法です。
「オプジーボ」が登場するまでは、免疫療法で癌の治療効果を上げた例は少なく、世界中の専門医は、免疫療法で癌が治るとは本気で考えていませんでした。しかし、今までになかった抗がん剤「オプジーボ」の登場によって、これまで治療の難しかった末期癌でも長期的な治療効果のある事例や完治する事例が生まれました。免疫を活性化させるという方法によって、免疫療法の新たな道を切り拓いたのが「オプジーボ」なのです。
▼分子標的薬とは?
分子標的薬とは、細胞の表面にある物質や遺伝子を標的として攻撃する薬のことです。
ほとんどの抗がん剤は、投与すると癌細胞だけでなく、同時に正常な細胞も攻撃してしまうので、重い副作用を発現させてしまいます。
近年、癌治療の研究が進み、がん細胞が増殖したり転移したりするのは、遺伝子の異常で出来た物質が原因であることが判明しました。そして、身体にとって悪い働きをする物質の活動だけを抑えることができるなら、がん細胞の増殖や転移が抑えられると考えました。こうして開発されたのが【分子標的薬】と呼ばれる薬です。
分子標的薬は、分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、悪さをする特定の分子だけを狙い撃ちにするので、正常な細胞へのダメージが少ないことが特徴です。従来の抗がん剤に比べると、副作用がずっと少なく、患者の負担が軽減されています。
▼抗体医薬とは?
抗体医薬とは、免疫反応が起こるタンパク質(抗体)を人為的に造ったもので、抗体を利用して標的を攻撃する医薬品のことです。遺伝子組換え技術などを応用して、病気に関連する分子だけに結合する抗体を作製します。
抗体医薬はがん細胞にある標的(抗原)にくっつき、攻撃担当の免疫細胞を呼び寄せて標的を殺傷します。標的が限定されるので副作用が軽い(他の細胞に影響を与えにくい)という特徴があります。しかし、効力が充分とは言えず、効果を高めるために様々な工夫が試みられています。
▼遺伝子組換え技術とは
遺伝子組換え技術は、遺伝子を細胞に導入し、その特性を発現させる技術のことです。ヒントになったのは、自然界で起こるウイルス感染です。ウイルスが細胞に感染すると、“自分の遺伝子を宿主の細胞に注入する”という現象が起こります。この現象を参考に、その生物が持っていない特性を持たせるため、別の生物から取り出した遺伝子を組み込むことに成功しました。現在、遺伝子組換え技術は有益な物質を大量に生産したり、作物や家畜の改良などにも用いられています。
最初の遺伝子組み換え技術による医薬品は、ヒトのインスリンで、米国で1982年に承認されました。1986年には最初のワクチンである「B型肝炎ワクチン」が発売されていますが、それ以降、たくさんの遺伝子組み換え製剤が導入されています。糖尿病の治療に必要なインスリンは、これまで豚から取り出したインスリンを使うか、化学反応を駆使して異なる部分のアミノ酸をヒト型へ変換して作っていました。現在では、遺伝子工学によって、ヒトの遺伝子を大腸菌に組み込んで、人間本来のインスリンを安く大量に生産することが可能となっています。
▼オプジーボの副作用
「オプジーボ」による治療中には、副作用が現れることがあるので注意が必要です。特に注意が必要な副作用を下表にまとめました。症状に気がついたら、すぐに医師、看護師、薬剤師に相談してください。
間質性肺疾患 | 息切れ、息苦しい、空咳、発熱、疲労 |
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重症筋無力症、心筋炎、筋炎、横紋筋融解症 | 運動で疲れやすい、まぶたが重い、力が入らない、筋肉痛、吐気、動悸、胸痛、赤い尿 |
大腸炎・小腸炎・重度の下痢 | 排便回数増、便が黒い、血便、腹部の圧痛、吐気、嘔吐 |
1型糖尿病 | 倦怠感、体重減、口渇、意識障害、尿量増 |
重篤血液障害 | 鼻血、皮下出血、だるい、黄疸、かゆみ、発熱、寒気 |
劇症肝炎・肝不全・肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎 | 黄疸、疲れやすい、吐気、嘔吐、発熱、腹痛 |
甲状腺機能障害 | 脱毛、体重増加、体重減少、寒気、便秘、物忘れ、性欲減 |
下垂体機能障害 | 頭痛、だるい、食欲不振、眼が見えにくい |
神経障害 | 麻痺、しびれ、手足の痛み、感覚がない |
腎障害 | むくみ、尿量減、貧血、血尿、倦怠感、食欲不振 |
副腎障害 | 倦怠感、意識が薄れる、吐気、嘔吐、食欲不振 |
脳炎 | 発熱、失神、嘔吐、精神状態の変化、体の痛み |
重度の皮膚障害 | 赤い斑点や水ぶくれ、口内炎、倦怠感、充血、発熱、粘膜のただれ |
静脈血栓塞栓症 | 腫れ、むくみ、意識の低下、皮膚や唇、手足の爪が青紫色、胸の痛み、息苦しい |
血球貪食症候群 | 発熱、発疹、出血が止まりにくい、痙攣、下痢、むくみ |
結核 | 寝汗、体重減少、倦怠感、微熱、咳、痰 |
膵炎 | 腹痛、背中の痛み、吐気、嘔吐 |
▼抗悪性腫瘍薬(がん)
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、【いつも通りの毎日を、その手に】というテーマで、QOL向上を表現したビジュアルです。腕時計を人生の流れに見立てて、生活の質の向上を表しています。
自転車は作用機序である“ブレーキをかけず進む”というイメージ、時計の針の位置はモノクローナル抗体の「Y」をイメージしているのかなと思います。
一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤/免疫チェックポイント阻害剤
製品名:オプジーボ点滴静注20mg,100mg,120mg,240mg
抗悪性腫瘍剤/ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体
小野薬品工業
ブリストル・マイヤーズ