新しい選択の先に拓かれる道がある
▼アフィニトールとは?
「アフィニトール」は、癌を抑える抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)です。主に腎細胞がんや乳がんの治療に用います。新しい作用機序のいわゆる分子標的治療薬です。癌細胞の増殖を抑制する作用と、癌組織の血管新生を阻害する2つの作用を持っています。
「アフィニトール」の有効成分であるエベロリムスは、細胞の生存、成長、増殖を調節するmTORの活性を阻害し、細胞周期の進行および血管新生を抑制することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制します。
腎臓のがんに対しても一定の効果が期待できることから、キナーゼ阻害薬の効果が十分に得られない場合などに用います。効き目には個人差がありますが、延命率が伸びる可能性があります。抗がん剤としては日本初のmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)阻害薬です。
mTOR阻害薬には経口剤の「アフィニトール」以外にも、注射製剤の「トーリセル」(テムシロリムス)が腎細胞癌の治療で2010年9月より臨床現場で使用されています。
▼製品名の由来
「アフィニトール」という名称は、AFINI(Affinity;親和性)+TOR(mTOR)。標的分子である【mTOR】に対する高い親和性(Affinity)を持つことに由来しています。
▼「膵神経内分泌腫瘍」が「神経内分泌腫瘍」へと適応拡大
2016年8月、mTOR阻害剤「アフィニトール」の適応症「膵神経内分泌腫瘍」が「神経内分泌腫瘍」へと拡大されました。「アフィニトール」は、他にも「根治切除不能または転移性の腎細胞癌」(2010年1月)、「結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫または上衣下巨細胞性星細胞腫」(2012年11月)、「手術不能または再発乳癌」(2014年3月)といった適応を有しています。
▼結節性硬化症(TSC)の適応拡大取得
2019年8月、ノバルティスファーマはmTOR阻害剤「アフィニトール」において、結節性硬化症(TSC)の適応拡大承認を取得したと発表しました。この適応追加により、てんかん部分発作を有する結節性硬化症患者に新たな治療選択肢が加わることとなります。
結節性硬化症は、Tsc1遺伝子又はTsc2遺伝子の機能喪失変異によってmTOR活性が恒常的に上昇することにより発症する難病です。皮膚、神経系、腎、肺、骨等、全身に“過誤腫”という良性の腫瘍や“過誤組織”と呼ばれる病変ができる遺伝性の疾患。日本での患者数は約1万~1万5000人前後と言われており、新たな治療選択肢が求められていました。
▼広告のキービジュアル
広告のビジュアルは、イタリアの画家ジョルジョ・デ・キリコのようなシュールな世界です。どこか懐かしいような、あたたかい既視感を感じさせるビジュアルです。輪の中を歩く人の姿は、化学(薬物)療法を続ける患者のイメージでしょうか。中央の男性だけ輪が解かれて、新しい道へ進んでいます。
▼癌疼痛治療薬
一般名:エベロリムス
製品名:アフィニトール錠2.5mg,5mg、分散錠2mg,3mg
抗悪性腫瘍剤/分子標的治療薬/mTOR阻害薬
ノバルティスファーマ