BUNYU/糖尿病領域の企業広告

新しい糖尿病が見えてきます。

萬有製薬(現MSD)の糖尿病領域の企業広告です。当時流行した3Dの錯視を使ったユニークな広告です(3D立体ステレオグラム)。眼の焦点を遠くに合わせると、「DPP-4」という文字が立体で浮かび上がってきます。

2010年代に入ってから、日本の2型糖尿病の治療は大きく変わりました。SU剤(スルホニル系)に成り代わって、DPP-4阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼ)が処方率で首位となったのです。世界標準薬であるBG剤(ビグアナイド系)のメトホルミンは、国内では勢力を伸ばし切れてません。

SGLT2阻害薬は、直接的なインスリン分泌促進作用を持たず、体重減少やインスリン抵抗性の改善も期待できることが特徴で、肥満度が高い欧米では高評価ですが、日本では圧倒的な“DPP-4阻害薬”の勢力に押されています。

2016年の資料によれば、国内のSGLT2阻害薬の処方率は処方箋ベースで2〜3%程度だということです。多数勢力のDPP-4阻害剤の中でも、週1回タイプのDPP-4阻害薬という新薬も登場しました。第一選択薬の座を巡る糖尿病治療薬の闘いは、まだまだ続いています。

▼糖尿病とは?

糖尿病には1型と2型が存在します。1型糖尿病は、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する組織が、主に自己免疫によって壊れてしまっている状態の病気です。インスリンが分泌できないため、血糖が高くなってしまいます。1型糖尿病の患者には、基本的にインスリン注射を打って、治療します。

一方で2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)は、生活習慣や肥満などによってインスリンの効きが悪くこなることで発症する病気です。「ルセフィ」は、2型糖尿病に対して使用する選択的SGLT2阻害剤です。

2型糖尿病治療では、薬を使う前にまずは食事の改善や運動療法が試されます。そして、食事療法や運動療法を行っても血糖値の改善が見られない場合に、「ルセフィ」のような薬を併用して、血糖をコントロールします。糖尿病は食事療法、運動療法、薬事療法の3つが基本ですが、ひとつでも手を抜くと血糖値が悪くなってしまいます。日々の血糖値を適切に保つことは、将来起こるかもしれないさまざまな合併症の予防につながります。

▼MSDとは?

MSD(メルク・アンド・カンパニー)は、世界140カ国以上で、医療用医薬品やワクチンなどを製造販売する世界的な製薬会社です。
2011年の売上高は480億ドル。社員数は約8万6千人(2011年現在)。ダウ平均株価(米国の日経平均株価のようなもの)の構成銘柄に選ばれている大企業です。日本では、2010年10月に萬有製薬とシェリング・プラウの合併を機に日本法人“MSD株式会社”となったことで有名です。

抗がん剤の「キイトルーダ」、AGA治療薬の「プロペシア」 、睡眠薬の「ベルソムラ」、糖尿病治療薬「ジャヌビア」、世界初のHIVインテグラーゼ阻害剤「アイセントレス」など、ドクターからニーズの高い新しい作用機序を持つ薬の開発に積極的に取り組んでいます。MSDの製品開発力は業界トップクラスであり、開発力・科学力がMSDの強みと言えます。

▼2016年度研究開発費トップ5

1位:ロシュ 11,704百万ドル
2位:ジョンソン&ジョンソン 9,124百万ドル
3位:ノバルティス 9,039百万ドル
4位:ファイザー 7,872百万ドル
5位:MSD(メルク) 7,194百万ドル

▼企業広告のメリット

企業広告は、企業のイメージアップを図ることで、結果として、自社製品の売上拡大に寄与することを狙っていますが、メリットはそれだけではありません。企業広告の効果は、例えば「あの会社だったら、働いてもいいな」といった優秀な人材の確保や「世間から立派な会社だと思われているし、自分も見合うように頑張らなくちゃ」といった従業員の意識にも充分な効果を発揮すると言われています。

いままでは、製品広告と企業広告は完全に分離して存在していましたが、最近では、製品広告と企業広告を一体としてとらえる発想が強まっています。医薬広告で言うと“C型肝炎”“疼痛”などの領域ごとで、企業広告を打ってくるケースです。これらは、企業広告を一歩推し進めて、製品の売上に繋げることを想定しています。製薬企業も商売ですから、やはりいろいろなことを考えて、仕掛けを練っているのです。






MSD
万有製薬

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