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▼ジャパンワクチンとは?
ジャパンワクチンは、グラクソ・スミスクライン株式会社と第一三共株式会社が折半出資(50%:50%)したワクチン専業の合弁会社です(2012年設立)。グローバルな開発ノウハウを持ったグラクソ・スミスクラインと日本での開発・販売ノウハウを持った第一三共が、お互いに保有するワクチン製品を継承し、日本国内における臨床開発、マーケティングや営業活動を強化していきます。
合弁会社を設立することで、グラクソ・スミスクラインには第一三共が持つ基礎的なワクチンを活用して、混合ワクチンを開発できるというメリットがあり、第一三共は50品目以上あるグラクソ・スミスクラインの製品から、日本市場に合わせた新規ワクチンを開発できるという利点が産まれました。
▼日本のワクチン市場
日本のワクチン市場は、長い間接種できるワクチンの種類が非常に限られていましたが、2011年頃からワクチン市場にもようやく追い風が吹き始めました。厚生労働省が予防接種部会で任意接種だった7つのワクチンについて、定期接種化を進める提言をまとめたのです。ワクチンによる予防医療が普及すれば、医療費の総額は下がっていくはずという算段です。特に小児用肺炎球菌、子宮頸がん、細菌性髄膜炎(ヒブ)の3つを優先しながら、定期接種の種類を徐々に増やして、将来的には混合ワクチンや新規ワクチンの開発を活発化させようという狙いです。
2007年に約600億円だった国内のワクチン市場は、5年間で2000億円を超えるまで拡大していきました。今まで国内製薬大手4社(第一三共、武田、アステラス、田辺三菱)は、中小のワクチン製造メーカーと組んで少ないパイを分け合っていましたが、ワクチン市場で世界トップクラスのグラクソ・スミスクラインと大手製薬企業の第一三共が手を組んだ「ジャパンワクチン」の誕生は、市場を根こそぎ奪いかねない脅威となっています。
▼ワクチン・ビジネスはハイリスク?(追記:2017年5月)
世界的にワクチン市場の拡大と寡占化が進んでいる一方で、日本は長い間ワクチン後進国でした。1970年代、世界中でワクチンの副作用に関する訴訟が乱発した結果、賠償責任を恐れた政府や製薬会社は国産のワクチン開発にすっかり消極的になっていたのです。最近でも、“子宮頸がん予防ワクチン”として接種されたHPVワクチン「サーバリックス・ガーダシル」によって深刻な副作用が発生し、国と企業を相手に訴訟を行っていますが、ワクチンのビジネスはリスクが高い、というのが日本のワクチン業界の現状でした。2016年には、アステラスが販売提携していた化血研(化学及血清療法研究所)による血液製剤の不正製造が発覚したこともあり、日本の市場ではワクチン業界の再編がますます加速しています。
ジャパンワクチン