エプクルーサ/C型肝炎撲滅への拡がる可能性

拡がる、可能性。

前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変、C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に

C型肝炎検査キット

▼エプクルーサとは?

「エプクルーサ」は、C型肝炎のウイルス増加をおさえる抗ウイルス薬です。核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬「ソバルディ」と新しいNS5A阻害薬「ベルパタスビル」を含有した配合錠で、【C型非代償性肝硬変】で初の治療薬として発売されました。C型肝炎治療領域において残されていた、難治性の患者に対する待望の新しい選択肢です。

「エプクルーサ」は、肝移植しか有効な選択肢がなかった【C型非代償性肝硬変】の患者や、「ハーボニー」「ソバルディ」などで治療が不成功だった場合の新たな選択肢となる薬です。1日1回1錠で、薬価は1錠6万154.50円と非常に高価な薬です。

なお、【C型非代償性肝硬変】に対しては12週間投与で、前治療歴のあるC型慢性肝炎やC型代償性肝硬変に対しては「レベトールカプセル」(リバビリン)と併用して治療を行います。

長い間、C型肝炎の基本的な治療法は【インターフェロン(IFN)療法】しかありませんでしたが、そのあと負担の少ない【インターフェロン・フリー療法】が主流となりました。そして2015年、効き目が極めて高く(100%)、治療期間も短い(3ヵ月)という、画期的な直接作用型抗ウイルス薬(DAA)「ソバルディ」と「ハーボニー」が登場しました。インターフェロンの注射を必要とせず、内服薬だけでC型肝炎を完治出来るというのは、革新的な出来事でした。

抗ウイルス薬には耐性変異といって、薬の効き目が弱くなる問題があります。ウイルス内部の遺伝子が変異して、耐性を獲得するのです。治療に失敗して耐性変異が生じると、次の治療にも影響を及ぼす場合があります。つまり、可能な限り1回の治療で成功させる必要があるのです。

【C型非代償性肝硬変】に対する初の治療薬が登場したことによって、C型肝炎撲滅へまた一歩近づいた、ということになります。

IFNフリー療法 ・副作用が少ない
・ウイルスの耐性変異が生じにくい
・治療期間:3ヵ月
・著効率が高い
IFN療法 ・副作用が深刻
・ウイルスが陰性として残る可能性あり
・治療期間:半年〜1年
・著効率が低い

▼C型肝炎とインターフェロン療法

日本のC型肝炎患者のほとんどは、C型肝炎ウイルス(HCV)が発見される以前に、輸血や献血での注射針の使い回しで感染したと考えられています。予防接種の注射器の使いまわしは、1948年頃に始まり、1988年まで続いていました。そういった経緯で、50〜80歳代の患者が多いのが特徴です。現在では、日常生活でC型肝炎ウイルスに感染するリスクは、ほとんどないと言われています。

C型肝炎の治療といえば、昔はインターフェロン(IFN)療法しか選択肢がありませんでした。しかし、IFN療法は6〜12ヶ月と治療に時間がかかり、治癒率も低く、過酷な副作用が伴う大変なものでした。IFNフリーの「ハーボニー」の承認は、C型肝炎患者にとっては待望の新薬です。「歴史が変わる瞬間がある」というのは、決して大げさなキャッチコピーではないと思います。

日本国内のC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は、190〜230万人と言われています。C型肝炎は、血液を介してC型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染することによって起こる炎症性の病気です。C型肝炎ウイルスに感染した人の約70%が、持続感染に移行して、やがてC型慢性肝炎となります。C型肝炎が慢性化すると、感染に伴う炎症が続くことによって、最終的に肝硬変や肝臓癌へと進展してしまいます。

1992年頃から、インターフェロン療法が承認されて、治療が行われましたが、治療が完了してからもウイルスが陰性のまま潜伏するなど、薬が効果的だった割合はわずか数%という悲惨な状況が続きました。

21世紀に入り、インターフェロン療法と抗ウイルス剤のリバビリンとの併用で著効率が約50%に向上。さらに、インターフェロン療法とプロテアーゼ阻害剤の「ソブリアート」を併用することで、約90%まで向上しました(初回治療患者の場合)。しかし、インターフェロン療法を含む治療法では、副作用が高頻度で出現するため、患者にとっては身体的にも精神的にも重い負担となっていました。

そして2015年、インターフェロンを用いない画期的な新薬「ソバルディ」と「ハーボニー」が登場しました。1989年のC型肝炎ウイルス発見から、苦節26年。C型肝炎診療の新時代の到来です。


▼IFNの深刻な副作用が与える影響の例
・通勤時に駅の階段が辛くて、一段も登れない
・副作用がひどくて仕事にならないので、治療を断念
・ウイルスが陰性化しているのではと不安が続く

▼C型肝炎の診断の流れ

C型慢性肝炎の診断は、血液検査によって行われます。肝機能に持続的な異常が認められる場合は、C型慢性肝炎を疑い、HCV抗体検査を行います。HCV抗体検査は各都道府県または市町村が実施しています。C型慢性肝炎の抗ウイルス治療は、国および自治体から医療費の助成を受けることができます。

HCV抗体検査 ウイルス感染の有無を判定
HCV RNA検査 ウイルス感染持続の有無を判定
ウイルス量/遺伝子型測定 治療方針決定のために、ウイルス量とHCV遺伝子型を判定
肝線維化の進展度の判定 病気の進展度の予測と発ガンの可能性評価

▼高額なIFNフリー製剤

「エプクルーサ」は、画期的なIFNフリー製剤として認められ、1錠当たり6万円を超える薬価が付きました。とても高額な薬剤です。その為、将来的には、特例拡大再算定(年間販売額が非常に大きい製剤に対する再算定のルール)が適用され、薬価が30%以上下げられる可能性があります。

▼ハーボニーとソバルディの違い

「ソバルディ(ソホスブビル)」に、レディパスビル(NS3阻害薬)を組み合わせ合剤にしたのが「ハーボニー」です。「ソバルディ」は“ジェノタイプ2型向け”、「ハーボニー」は“ジェノタイプ1型向け”のC型肝炎治療薬です。

ジェノタイプというのは“遺伝子型”のことで、ウイルスの遺伝子(塩基配列)による分類のことです。日本人のC型肝炎患者の70%がジェノタイプ1型だと言われています。

「エプクルーサ」は、「ソバルディ」と新しい有効成分「ベルパタスビル(NS5A阻害薬)」を組み合わせた配合錠で、前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変、C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に使用されます。

▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、ヨットで日本初となる“単独太平洋横断航海”を達成した堀江謙一氏。“日本初”と“偉業”をコンセプトに「ハーボニー」と「ソバルディ」のキービジュアルの流れを汲む、物語性を感じさせるビジュアルです。

このようなビジュアルは「ストーリードゥーイング広告」や「ストーリーテリング広告」と呼ばれています。ストーリーには共感を呼ぶ力があり、物語性のある広告には、製品の素晴らしさを間接的に訴求する、という効果があります。

共感できる物語は人を深く惹きつけ、信頼関係を構築するのに役に立ちます。ストーリーテリングを通じて、自然なかたちで製品の持つ特徴や企業メッセージを伝えることができるのです。

逆に、この手の広告の欠点としては、「ストーリーは憶えていても、製品名が思い出せない」という点で、取り扱いには注意したい手法です。

【堀江謙一(1938年9月8日〜)】 海洋冒険家。1962年、小型ヨット「マーメイド号」で兵庫〜サンフランシスコ間の太平洋単独横断航海に成功。水20リットル、米40kg、缶詰200個を積んで出航した。当時はヨットによる出国の法律がなかったため、密出国になった。しかし、サンフランシスコ市長が「コロンブスもパスポートは持ってこなかった」と堀江氏を名誉市民として受け入れ、日本人からも多くの賞賛を集めた。

一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル
製品名:エプクルーサ配合錠
抗ウイルス剤/抗HCV配合剤/抗ウイルス化学療法剤
2019年2月16日発売
ギリアド・サイエンシズ

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