ロナセンテープ/映像を効果的に使ったブランディング

DSAの遮断力
ピタッと貼って、さらなる一歩を

DSA:Dopamine-Serotonin Antagonist

▼ロナセンテープとは?

「ロナセンテープ」は、世界で初めての抗精神病薬の経皮吸収型製剤(テープ剤)です。大日本住友製薬が、テープ剤のノウハウを持つ日東電工と共同で開発した新製品です。テープ剤にすることで、血中濃度の安定維持や服薬アドヒアランスの向上が期待されています。嚥下困難で、飲み込む力が弱っている高齢者にも使用できます。

「ロナセン(プロナンセリン)」自体は、十年以上前から存在する薬です(2008年発売)。「ロナセン」シリーズとしては錠剤、散剤に次ぐ3番目の剤形となります。

プロナンセリンには、心を安定させ、気分を穏やかにする効果があり、気分の高ぶりや不安を鎮めるほか、心と身体の活動を改善する効果があります。「ロナセン」は、主に心の病気(統合失調症)の治療に用いますが、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、躁状態など様々なケースで処方されることもあります。

「ロナセン」の主な作用は、ドパミンとセロトニンという脳内のふたつの神経伝達物質を抑制することです。ドパミン【D】とセロトニン【S】を抑えることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の双方に良い効果が期待できます。

このタイプ(「リスパダール」など)は、ドパミンよりもセロトニンを抑制する薬が多く、一般的に【SDA】と呼ばれていますが、「ロナセン」はセロトニンよりもドパミンにしっかりと結合するため、販売元はDSA:Dopamine-Serotonin Antagonist(ドーパミン・セロトニン拮抗薬)と呼称しています。

他の受容体への影響が低いことから、「ロナセン」は極めてシンプルなアシスト機能を持つ、新しいタイプの第2世代抗精神病薬と言えます。シンプルな受容体結合という特性は、有効性と安全性のバランスが取れた薬として、医療現場で重宝されています。

「ロナセン」には、セロトニンよりもドパミンに対する遮断作用が強いという特徴があります。また、脂溶性が高いため脳内に浸透しやすく、同系の薬の中でも幻覚、妄想、興奮といった陽性症状にかなり良い効果を示します。統合失調症の急性増悪においても改善効果が認められています。

▼ロナセンテープの薬価と売上予測

「ロナセンテープ」の薬価は、20mgが1枚278円40銭、30mgが1枚401円30銭、40mgが1枚520円20銭となりました(2019年9月現在)。「ロナセンテープ」の2019年度の売上高予測は18億円を見込んでいます。

▼なぜ服薬アドヒアランスが問題視されるのか

心の病気は、高い再発率が長年の課題となっています。製薬会社の調査によると、統合失調症の再発・再燃率は57.3%に上ると言われています。高い再発率の最大の要因は、“服薬アドヒアランス”です。つまり、統合失調症の患者は、抗精神病薬を医師の指導の通りきちんと服用することが困難だということです。

心を病んだ人は自分自身で病気を認識することが難しく、「自分は病気ではない」と思いがちですし、「無理やり注射を打たれようとしている」と妄想を抱くケースもあります。

そこで考えられたのが、経皮吸収型製剤「ロナセンテープ」です。飲む・打つではなく、湿布のように薬を貼ることで、患者のハードルを下げ、治療への参加意欲を促します。治療の新しい選択肢が増えるということは、再発に悩む患者や家族にとってはメリットと言えそうです。

1日1回皮膚に貼るだけで、24時間安定した血中濃度が維持できるため、錠剤や散剤などで上手くいかなかった患者にも効果が期待できます。また、テープ剤は投与の有無や投与量を目視でチェックできるというメリットもあります。

▼統合失調症とは?

統合失調症とは、思考、知覚、感情、言語、自己の感覚、および行動における他者との歪みによって、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神障害のひとつです。人々と交流しながら、家庭や社会で生活を営む機能がダメージを受け(生活の障害)、“感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる”ことを、自分自身で認識することが難しくなる(病識の障害)、という特徴を持っています。日本では2002年頃まで、精神分裂病と呼ばれていました。

統合失調症は珍しい病気ではなく、100人に1人の割合でかかる一般的な疾患です。特別視することはありません。「ロナセン」をはじめ、いろいろな種類の薬が出ています。薬物療法を中心にきちんと治療を続ければ、普通の社会生活が送れる病です。

▼ロナセンの副作用

「ロナセン」の主な副作用は、立ちくらみ、めまい、眠気、口の渇き、便秘、尿が出にくい、動悸、体重増加などが報告されています。特に服用し始めたばかりに、強い立ちくらみやめまいには注意が必要です。女性特有の症状として、生理不順や乳汁分泌が稀に表れることがあります。

旧来の定型抗精神病薬に比べると、手のふるえ、こわばり、じっとしていられないといったパーキンソン病に似た症状(錐体外路系副作用)や高プロラクチン血症は少ないのですが、服用量が多くなるとどうしても症状が出やすくなります。それから、長期間服用する場合は“遅発性ジスキネジア”という副作用にも注意が必要です。

重い副作用(ほとんどないですが、注意が必要) 悪性症候群、遅発性ジスキネジア、麻痺性イレウス、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、横紋筋融解症、無顆粒球症、静脈血栓症、肺塞栓症、肝臓の重い症状
その他の副作用 錐体外路症状、眠気、不眠、頭痛、めまい、吐き気、食欲不振、食欲亢進、口が渇く、便秘、尿が出にくい、目のかすみ、立ちくらみ、動悸、不整脈、高プロラクチン血症、生理不順、乳汁分泌、男性乳房の膨らみ、体重増加、高血糖、発疹

▼“貼る”医薬品







▼その他の統合失調症治療薬



▼広告のキービジュアル

広告のキービジュアルは、手で貼付剤の四角形をつくる女性。四角形には“Lonasen Tape”の頭文字「L」と「T」が隠されていて、ダブルミーニングとなっています。ビジュアルには「主体的に治療へ参加する患者さんを強く、優しく支えたい」という想いが込められています(公式サイトより)。

最大の特徴である“テープ剤”ということを印象づけるのにふさわしいキービジュアルです。メッセージはシンプルですが、他製品にはない新鮮さを感じます。「L」と「T」が隠されたロゴタイプにもこだわっており、細部まで考え抜かれた秀作です。ちなみに患者数の傾向なのか、抗うつ薬や抗精神病薬のビジュアルには、若い女性が登場することが多い印象。「ブランドムービー」は、近年流行しているブランディングの一種で、製品の魅力を多くの人へ瞬時に伝えることに適しています。大日本住友製薬は製品のイメージづくりが非常に巧い製薬会社だと感じます。

ロナセンのブランドムービーより

「ブランドムービー」は、製品の魅力を多くの人に伝えるブランディングの一種

一般名:ブロナンセリン経皮吸収型製剤
製品名:ロナセンテープ20mg,30mg,40mg
統合失調症治療薬/非定型抗精神病薬(DSA)/抗精神病剤
大日本住友製薬
新発売(2019年9月10日発売)
投薬期間制限解除(2020年10月1日)

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