発表LEM(Lochol Event Monitoring 2009 JAPAN FINAL)
日本人高齢者の高コレステロール血症に、新たなエビデンス。
▼ローコールとは?
「ローコール」は、体内のコレステロールを減らす高脂血症の薬です。スタチン系に分類される種類の薬で“HMG-CoA還元酵素阻害薬”とも呼ばれます。
スタチン系はコレステロール低下作用が強く、効果にも実績があります。高脂血症(高コレステロール血症)の治療に、非常に頻繁に使用されている薬です。ジェネリック(後発品)も豊富に出ています。
「ローコール」の主な代謝は肝臓で行われ、糞や尿となって排泄されます(約92%が糞から、約5%が尿で排泄)。つまり、「ローコール」の排泄には腎臓にほとんど影響がないため、腎機能が低下している高齢者でも腎臓に負担を掛けずにLDLコレステロールを下げることができる、と考えられています。
▼スタンダードスタチンとストロングスタチン
スタチン系の高脂血症治療薬は、効果の強さで【スタンダードスタチン】と【ストロングスタチン】に分けられます。「ローコール(フルバスタチン)」は、スタチン系の中では【スタンダードスタチン】に分類される薬剤です。LDLコレステロールを低下させる効果は、【スタンダードスタチン】で約15%、【ストロングスタチン】で約30%と言われています。
基本的に、実際のLDLコレステロール値と目標値の幅が30mg/dL以下の場合は「ローコール」や「メバロチン」のような【スタンダードスタチン】が処方されます。一方、LDLコレステロール値と目標値が50mg/dL以上乖離している場合は、初めから「リピトール」や「クレストール」といった【ストロングスタチン】が処方されます。
▼脂溶性の薬と水溶性の薬
スタチン系に分類されるHMG-CoA還元酵素阻害薬は【脂溶性の薬】と【水溶性の薬】のふたつのタイプに分類されます。「ローコール」は、脂溶性のHMG-CoA還元酵素阻害薬です。一般的に脂溶性の薬は、内臓や細胞へ薬の成分が伝わりやすいと言われています。その為、脂溶性の薬は効果が出やすい一方で、水溶性の薬に較べると副作用が発現しやすい傾向があります。
ローコール | スタンダードスタチン | 肝代謝、メバロチンよりも効果強、脂溶性 |
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メバロチン | スタンダードスタチン | 腎排泄、細粒剤あり、日本初のスタチン、水溶性 |
クレストール | ストロングスタチン | 胆汁排泄、スタチン系最強、水溶性 |
リバロ | ストロングスタチン | 胆汁排泄、スタチン初のOD錠、脂溶性 |
リピトール | ストロングスタチン | 肝代謝、配合錠(カデュエット)あり、グレープフルーツNG、脂溶性 |
▼主なスタチン系「高脂血症治療薬」
▼高脂血症(高コレステロール血症)とは?
高コレステロール血症という病気は、血液中のコレステロールが多すぎる状態のことを指します。自覚症状がない場合でも、長い時間をかけて少しずつ動脈硬化が進むと、心筋梗塞や狭心症といった深刻な病気の原因となる可能性があります。
日常的にコレステロールを低下させておけば、将来発症するかもしれない心筋梗塞や脳梗塞などの深刻な病気のリスクを減らすことが可能です。
▼心筋梗塞や脳梗塞などを予防
スタチン系の高脂血症治療薬による心筋梗塞の予防効果や予後改善効果は、多くの大規模臨床試験で証明されています。高脂血症の人にスタチン系の高脂血症治療薬を用いた場合、心筋梗塞などのリスクをおおよそ30%減らせることが分かっています。とくに、心筋梗塞のリスクの高い人、たとえば狭心症や心筋梗塞をすでに発症している人、高血圧や糖尿病のある人にとって有用性が高い薬です。
日本老年医学会が発行している【高齢者脂質異常症診療ガイドライン2017】では、スタチン系高脂血症治療薬を冠動脈疾患の二次予防に推奨しています。ただし、“スタチン系高脂血症治療薬は、高齢者の糖尿病の新規発症を増加させる”とも指摘しており、高齢者の処方には充分な注意が必要です(追記:2017年11月)。
ローコールの副作用
「ローコール」の主な副作用は、腹痛や吐き気などの胃腸症状と肝機能数値の異常です。肝機能値の異常は、極稀に重い肝障害へ繋がる場合がありますが、定期的な検査を行えば心配ありません。長期間服用する際は、医師に相談してください。
深刻な副作用はめったにないですが、筋肉が障害を受ける“横紋筋融解症”には注意が必要です。具体的な症状としては、手足のしびれ、けいれん、筋力低下、筋肉痛、歩行困難といった症状が報告されています。特に腎臓に障害がある患者、腎機能が弱まっている高齢者は注意が必要です。
また、フィブラート系の高脂血症治療薬と一緒に飲むと“横紋筋融解症”が起こりやすいと言われています。指定された検査を受け、定期的に副作用のチェックしてもらうことが重要です。
重い副作用 | 横紋筋融解症、ミオパチー、肝機能障害、過敏症、血小板減少、間質性肺炎 |
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その他の副作用 | 肝機能値の異常、胃の不快感、吐き気、腹痛、下痢、頭痛、不眠、発疹、かゆみ |
▼主な高脂血症治療薬
フィブラート系 | 中性脂肪を下げる効果が強いので、中性脂肪が高い患者に使用されることが多い。善玉(HDL)コレステロールを上げる効果もあり。 |
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スタチン系 | 悪玉(LDL)コレステロールを下げる効果が強い。善玉コレステロールを上げる効果は弱い。 |
レンジ系 | 悪玉コレステロールを下げる効果あり。スタチン系と併用することが多い。 |
プロブコール | 悪玉コレステロールを下げる効果あり。 |
ニコチン酸 | 善玉コレステロールを上げる効果あり。悪玉コレステロールを下げる効果は弱い。 |
小腸吸収型 | 悪玉コレステロールを下げる効果あり。スタチン系と併用することが多い。 |
PCSK9 | 悪玉コレステロールを強力に下げる。重度の患者に使用。注射剤。 |
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、円卓に集まる専門医です。円卓が血管の断面図になっていて、高脂血症を表しています。医師という被写体の持つ魅力を最大限に引き出し、説得力のある真摯なデザインです。
この手法を私は“ヒーロー戦隊物”と呼んでいます。「サイボーグ009」や「ゴレンジャー」のような“さまざまなスキルと個性を持った人材が集まって活躍する”というイメージを感じさせるビジュアルです。
医薬広告の世界でも一時期流行した表現方法なのですが、数年後に製薬協の自主基準「作成要領」の改訂において、禁止となりました。
理由としては、登場する医療関係者がその薬をあたかも保証しているように見えるから、ということです。登場する医師は、少なくともその薬を信頼しているから広告に出ることを承諾したのだと思いますが、厳しい規制ですね。
一般名:フルバスタチン ナトリウム
製品名:ローコール錠10mg,20mg,30mg
高脂血症治療薬/スタチン系/HMG-CoA還元酵素阻害剤
ノバルティスファーマ