サノフィ/インスリンの投与量、ためらっていませんか?

その先の投与量へ。

低血糖を避けるため、つい消極的になってしまいがちな基礎インスリン投与量。この度「厳格で適切な用量調節」を後押しする、心強い試験(※)が発表されました。さあ、ここからインスリン治療が、またひとつ進み出します。

サノフィ社の糖尿病領域の企業広告です。製品名は出ていませんが、インスリンアナログ製剤の「ランタス」のプロモーションの一環です。アジア6ヶ国で実施した“ATLAS”という比較試験の結果を報告しています。

▼サノフィとは?

サノフィ・アベンティス社は、国内の糖尿病市場において、経口血糖降下薬とインスリン製剤を両方提供している国内唯一の製薬会社です。

糖尿病治療薬(血糖降下薬)として、スルホニルウレア系経口血糖降下薬「アマリール」、選択的DPP-4阻害薬「エクア」、持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタス」、超速効型インスリンアナログ製剤「アピドラ」などを提供しています。

サノフィは、糖尿病の患者用として糖尿病専用の情報サイト「糖尿病がよくわかるDM Town」を開設するなど、一般の方へも積極的に情報提供を行っています。

▼ランタスとは?

「ランタス」は、遺伝子組み換えによって創られたインスリン注射薬です。身体の基礎的なインスリン分泌を補うために糖尿病患者に使用します。効き目が続く「持効型」に分類されるインスリン製剤で24時間安定した効果が期待できます。1日1回就寝前に投与する場合が多いようですが、朝に投与する場合もあります。患者が日中一番安定しない時間を狙って作用させるために、作用時間を逆算して投与するのが一番効果的だと言われています。

インスリンには、生理的な血糖変動を安定させるために常に分泌され続ける基礎インスリンと、食後の血糖上昇を抑制するための追加インスリンの2種類がありますが、「ランタス」は、基礎インスリンを補充するものです。

▼広告のキービジュアル

広告のビジュアルは、バケツで墨をぶちまけて描かれたような書(というかアート?)です。インスリンの分泌をイメージしているのでしょうか。画家のジャクソン・ポロックのような予定調和を超えた力強さを感じます。全体的に、和風のテイストに仕上がっています。「ランタス」は世界で圧倒的に売れているインスリン製剤なのですが、日本では注射カートリッジのオプチクリック(現在発売中止)が不具合で自主回収となったり、国内では出遅れていました。この広告は、日本市場での巻き返しを意識したビジュアルだと思われます。

▼インスリンとは

インスリンは、膵臓に存在するホルモン分泌細胞の塊である膵島(ランゲルハンス島)のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種で、血糖を下げるホルモンです。人の膵臓は、約200単位のインスリンを保有していて、健常人の1日のインスリン分泌量の50%が常時分泌される基礎分泌で、残りの50%が食事に反応して分泌されるインスリンとなります。基礎分泌量は1日当たり18~32単位(0.7~1.3mg)です。

▼ランタスXRとの違い

「ランタス」と「ランタスXR」は、同じ有効成分のインスリンアナログ製剤です。違いは有効成分の濃度にあります。「ランタスXR」は、「ランタス」の有効成分の濃度を3倍にした製剤です。XRとは、持続的な溶解を意味する“eXtended Release”という言葉が基になっています。どちらも1日4~80単位の範囲で使用する、という用法は同じなので、「ランタス」と「XR」とでは、1回の注射量が変わりることになります。濃度の高い「XR」を使った方がインスリンの血中濃度が安定し、血糖値がピークのない平坦な推移をすることが報告されています。「ランタスXR」は「ランタス」よりも吸収が穏やかなので、より安定した血糖コントロールが期待できるというわけです。「ランタス」には、バイオ後続品としてジェネリック薬(インスリン グラルギン)が発売されていますので、「ランタスXR」を出したのは、後発品対策の一環なのかなと思います。

▼他のインスリン製剤との違い

インスリン製剤には“中間型〜持効型(基礎分泌補充)”と“速効型〜超速効型(追加補充)”とふたつの“混合型”があります。「ランタス」は“持効型”で決まった時間に注射しますが、例えば「ノボラピッド」は“超速効型”で食直前に注射します。作用機序もそれぞれ異なります。
「ランタス」は、肝臓におけるグルコースの発生を阻害したり、筋肉や脂肪組織へのグルコースの取り込みを促進して血糖値を下げます。「ノボラピッド」は、膵臓のインスリンと、構造が少し異なるインスリンで、細胞のインスリン受容体に結合してブドウ糖の取り込みを促進し、血糖値を下げます。インスリン製剤によって、効果が発生するまでの時間や持続時間は異なりますので、インスリン注射は、人間の身体本来が持っているインスリン分泌と同じになるように使うことが大切です。

※ATLAS:Asian Treat to Target Lantus Study
「ランタス」(インスリン グラルギン)に関する日本を含むアジア太平洋地域の6ヶ国共同で実施した比較試験。2型糖尿病患者自身がランタスを用量調節する治療は、医師主導の通常の治療に劣らない血糖コントロールをもたらし、有用性の高い治療法となることが示された。

▼ランタスのバイオ後続品(BS:バイオシミラー)


一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
製品名:ランタス
持効型溶解インスリンアナログ製剤
サノフィ

関連記事

カテゴリー

スポンサードリンク