新しい肝選択的な治療を
いまも未来も
▼ベムリディとは?
「ベムリディ」は、B型肝炎のウイルス増加をおさえる抗ウイルス薬(TAF:テノホビルアラフェナミドフマル酸塩)です。B型肝炎やB型肝硬変の治療に処方します。中高年の慢性肝炎に処方する場合が多いですが、若者でも進行が早くて改善する見通しがなければ処方対象となります。1日1回投与。薬価は1錠996.50円(2017年2月現在)。
肝臓病の原因の90%はウイルスです。特にB型ウイルスとC型ウイルス(HBV、HCV)による慢性肝炎が深刻です。慢性肝炎に罹ってしまうと、長い期間良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、肝臓の一部が肝硬変へと進行し、最終的には肝臓癌にまで至ります。この【慢性肝炎 → 肝硬変 → 肝臓癌】という進行を止めることが治療の最終目標です。具体的には、B型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)の消失を目指します。
▼ベムリディの作用機序
「ベムリディ」は、ウイルス遺伝子が複製される工程を阻害し、ウイルスの増殖を強力に抑制します。抗ウイルス療法が適応されるのは、ウイルス量(HBV DNA量)が多く、肝機能値(ALT値)が思わしくないB型慢性肝疾患に対してです。薬によってウイルスが減少し、肝機能値が正常範囲におさまれば、肝硬変や肝臓癌への進展を止めることが可能です。
▼ベムリディの特徴
「ベムリディ」の有効成分テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)は、2014年に発売された「テノゼット」の改良版で、「テノゼット」の有効成分テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)と同じ効果を、TDFの1/10以下の用量で示すことが確認されています。「テノゼット」の副作用として心配される腎機能障害や骨密度低下といった影響も少ないことが特徴です。
今のところ現在まで耐性ウイルスが認められず、その点にも優れます。用量が少なくなったので、錠剤が約半分ほどに小型化し、飲みやすさも向上しています。今後、第一選択薬(ファースト・チョイス)のひとつとして期待されている薬剤です。
▼B型肝炎治療薬/核酸アナログ(核酸類似物質)一覧
製品名 | 一般名(略号) | 発売年 |
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ゼフィックス | ラミブジン(LAM) | 2000年 |
ヘプセラ | アデホビルピボキシル(ADV) | 2004年 |
バラクルード | エンテカビル水和物(ETV) | 2006年 |
テノゼット | テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF) | 2014年 |
ベムリディ | テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF) | 2017年 |
「ベムリディ」のような“核酸アナログ製剤”が適用となるのは、インターフェロン注射による初回治療で十分な効果が得られない慢性肝炎、あるいはインターフェロンが副作用などで使いにくい場合です。
ただし、肝硬変に対しては初めから処方されます。核酸アナログ製剤は肝炎の沈静化に非常に効果的ですが、肝細胞内のウイルスを完全に根絶できるわけではありません。そういった経緯で、維持療法として服用期間は長期に亘ります。
▼ベムリディの副作用
「ベムリディ」の主な副作用は、吐き気、腹部膨満、頭痛、疲労などです。その他、数は少ないですが、急性腎不全など重い腎機能障害が報告されています。腎臓に障害のある人は注意が必要です。
主な副作用 | 吐き気、腹部膨満、頭痛、疲労、クレアチニン増加、腎機能異常、骨密度の低下、発疹、かゆみ |
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重い副作用 | 【腎臓の重い症状】 尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹 【乳酸アシドーシス、脂肪肝】 吐気、嘔吐、腹痛、下痢、倦怠感、息苦しい、筋肉痛、手足の震え、脱力、歩行困難、動悸、急激な体重減少、意識の低下、右上腹部の張りや圧迫感 |
▼その他の抗ウイルス薬
▼広告のキービジュアル
広告のキービジュアルは、空から見た街の灯です。人体のカタチをした大陸で、肝臓の街が光り輝いています。全体に拡がる光の粒は、ウイルスのイメージだと思われます。地平線の向こうから昇ってくる太陽が、希望と未来を感じさせます。
一般名:テノホビル アラフェナミド フマル酸塩(TAF)
製品名:ベムリディ錠25mg
抗ウイルス剤/その他/抗ウイルス化学療法剤
2017年2月15日発売
ギリアド・サイエンシズ